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おるがにすと・クロニクル Chronicle of an Organist

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絵日記15&16日目 | the 15th & 16th day

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7月13日(水)
晴天。

朝6時半に早起きして、前日書いたプログラムノートの英語版を書く。
今回はチケットが全て前売りなので、お客様の「顔」がほとんど見えるため、ベルギー大使夫妻のみが外国の方ということで、仏語、蘭語は今回はパス。ぎりぎりになってしまってどうしようと思ったが、なんとか書いて提出。

昼から娘の願いを成就させるべく「銀座」へ。
これは彼女にとっては「ただの町の名前」ではない。
東京に住んでいた頃、わたしがイメージしていた「パリ」という言葉の響きに近いかもしれない。

暑い中また電車乗って行くのね〜と心の準備をしていたら、上の弟K君が
「仕事場近いから車で行ってあげよう」
と言う。
「って、どこに停めんの!」
と訊けば、まあパーキングはいろいろあるようだ。
4人で行った電車代と思えば駐車料金も同じようなものだ。ということで午後、出発。

初めタンクトップにショートパンツ姿で行こうとしていた娘に、

「銀座だよ。みんなおしゃれしていくんだから、そんな格好じゃ恥ずかしいかもしれないよ。」

というアドヴァイスをしたのは、なんと75歳の父。(そういうこと普通は興味ない人だと思っていたが)

娘にはそのままでも彼女なりに「カッコいい」スタイルだったのかもしれないけれど、「もっとシックな格好して行って欲しいなあ。」というおじいちゃんの声を聞き入れ、黒に水玉のミニワンピに着替えた。

実は帰国して数日後に、猫が彼女のビンテージ風コンヴァースのバスケットシューズに「テリトリーのしるし」をつけてしまい、片方だけ洗って玄関先に干してあったのを、「ぼろぼろでごみなんだろう」と思った「なにものかによって」、いつのまにか「処分されてしまっていた」という事件に於いて、「こういうわざとぼろっちく加工してある最近のスタイルというのは、ピカピカより格好いいという論理のもとに、高価なものである場合が多いらしいが、しかしよくわからん」という新旧の感覚のせめぎ合いが勃発していたので、ここで「銀座はシックなので気をつけるように」という目上からの注意を娘が受け入れて着替えたのはわたしからすれば面白いなあという感慨に尽きる。別にそんなおしゃれしなくてもいいっかあ。と生ぬるかった私は、じいちゃんと孫の味わい深いやり取りの前に、完全に他者となっていた。

なにはともあれ準備して出発、銀座6丁目(?)に駐車し、地図を調べて、角に立つ黒いビルを発見。「あっ!あったよ!」と私が騒ぎ、娘を見ると、完全に緊張して固まっている。ほかにもいろいろあるようだが、特に、夢にも見た「アバー・クロンビー・アンド・フィッチ」銀座支店がそこにそびえ立っていた。(ベルギーには無いのだ)

家を出る時に、「あの、バスケットシューズの件もあるからさ、おじいちゃんおばあちゃんからも出すから何か買ってあげてね。」と留守番の父に耳打ちされていた私。このお店は自分たちには高級過ぎるから、と普段娘には言っているのだけれど、ここまで来ちゃったら「ウインドーショッピング」だけで出て来られるか自信ないわ。と思いつつ中に入った。でもお高価なお洋服に出資するのはどうもなじめない。

うわさ通り、上半身「筋肉をまとっただけ」の男性と記念写真用ポラロイド係の女性が出迎えてくれる入り口のホールをツカツカと早足で横切る娘の姿は、幼い頃ディズニーランドに入ったとたん、どんどんどんどん前のめりに進んで行くので着いて行けないぐらいだった時のことを思い出させた。

しかし女性の服が8階から11階という構造になっているのを知らず、階段を登りつづけるも、あたりは真っ暗、音楽はがんがん、香水はぷんぷん、売り子さんたちはみんなディスコみたいに踊っている。これは一体どうやってお買い物をするのであろうか。

と、途方に暮れつつ、なんとか女性パーカー売り場を発見。
洋服屋というよりは美術館の照明なので、なにもかも幻想的に美しく見える。

カタログで前もって娘が見たいと思っていたパーカーが3枚あり、「見ると実際イメージが違うものだね」などといいながら試着させてもらったりしていると、入り口で見た気がするお姉さんが、暗闇から現れ、娘をスカウトしようと声をかけてきたので、全員びっくりして声を失った。

「お洋服も素敵で、お店のイメージにぴったりのお嬢さんです!」

とのことばは、自分に全く自信のない娘の思春期の人生に於いて、励ましに満ちたことばとしてこれからも心に刻み付けられてゆくことであろう。この事件のお陰で、おじいちゃんが「シックな格好をしていくように」と言ったアドバイスが貴重だったことが明らかになったので、「モード見解」に葛藤を来した、我が家のバッシュ事件はここに大団円を迎えたのであった。

年が全く足りないのでもちろんモデルさんにも売り子さんにもなれなかったのだが、このとき私がとっさに思ったのは「もしかしてこのパーカー、もらえるかも!」という全く自分中心の感慨だけであった。でもよく考えれば、娘はそういう仕事ができる性格ではないので、ただただ真っ赤になって泣きそうになっていた。なんといっても喋りたくても耳元で怒鳴らないと会話出来ないぐらいロックがかかっているので、そそくさと1枚選びお会計してもらい、逃げるようにして外に出た。

アバクロのショックから立ち直ろうと、木村屋のパーラーに入り、あんみつを食べる。抹茶あんみつは日本に永住したくなるおいしさだった。

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おなかが落ち着いて少したつと、夢のパーカーを「みなさんのありがたい寄付によって」手に入れた事や「素敵ですね!」と「素敵本家・アバクロの人」に言ってもらった事が娘の心にも充満して来たようで、るんるんx3状態になってきた。それを見届けた私は、「じゃあ次は私の行きたいとこ行くよお。」と、鳩居堂や山野楽器、そのた、ブティックを見て回った。一人るんるんわくわくの人がいるために、一行、幸せな気分になって何を見ても楽しかった。最後に下の弟が仕事を終えて合流、娘にスエードのバッグを買ってくれた。私は母とおそろいでそれぞれ「バッグ・イン・バッグ」を同じ店で買った。

今度は下の弟S君の運転でまた大騒ぎしながら帰った。

疲れて、ぽっくりという感じで、早寝してしまった。


7月14日(木)
猛暑と言って過言は無い。

昼から予約していたヘアー・カットに行く。
教会のお友達ということで、わたしは初対面だったけれど、リラックスできた。
それに木目のサロンが素敵。

Hair+Cafe縁
というサロンです。

ゆうじさんにカットとパーマをしてもらい、娘もカットをしてもらった。
髪がふわふわのさらさらになった。
そのあとおいしい冷たいお茶と柚子入りスコーンを脇のカフェで頂いた。
わたしは午後教会の電子オルガンで練習、娘も礼拝奉仕があるのでヴァイオリンの練習をして一日が過ぎた。


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着付け担当のゆかりさん。
教会の合唱練習で一緒に歌った時楽しかったね。
歌う声がお互いよく似ているのでびっくりしました。
話す声は随分違うのに。
また来年行きたいです。

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早めに就寝。
このところ毎晩冷房を微風にして寝ざるを得ない暑さ。







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by momoyokokubu | 2011-08-31 22:56 | 鍵盤楽器