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おるがにすと・クロニクル Chronicle of an Organist

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2013年のための原風景

2013年も、ブログに新年の抱負を書く季節がきたな、どんなことを書けるかな、と考えるのが楽しみだったのですが、気がついたら節分をすぎ、抱負どころじゃなくなっていた、2013年初頭でした。おせち料理もことしは省略だったので、ちょっとオフビートな幕開けです…。

ことしの最大のイベントは4月に日本で演奏させてもらう3つのオルガンとの出会い、そこでの聴衆の皆様との出会いです。どの演奏会でも最高の演奏を出来るように、1月1日から着々とオルガンを弾きプログラムの準備を進めております。新年の瞬間も、プライベートな演奏会を弾きながら迎えることができました。今年も、「行け行け弾け弾け」の一年になると思います。

しかしせっかく考えた抱負をまったく書かないのも(自分が)残念なので、今日は書いてみます。辛い日にも、大切なことを忘れがちな日にも、なにかイメージがあれば、すっと「ああそうだった」と心が素直になる気がするので、いちいち「原風景」ともいえることがらを対にして書きます。


1。紙の「てがみ」を大事にする。

12月5日になるとクリスマスカードを用意します。クリスマスカードが届き始めます。わあ返事書かなくちゃ、お礼を言いたい人にも送らなきゃ、と思い郵便局へ行って切手を買い込みます。ある程度枚数を送ったところで15日になり、クリスマスのミサなどの関係であっという間に26日になっています。食事会も多くなるので持って行ける人には家族全員でサインしてせっせと持って行き、年末になり、お正月が来て、今度は日本から年賀状が届きます。本当にありがたいことです。しかし1月1日からミサがあったりのんびりしているうちに半分以上のカードを送り損ね、メール版の電子お年賀のようなものをまとめて送ってしまうと紙のカードの方はほぼ不要品と化す。

演奏会のちらしでもお祝いでも、郵送しようと思うと封筒が手元になかったり、引っ越したという情報を書き留めていなくて住所がすぐにわからなかったり…(ベルギーでは「郵便局」も10分の1ぐらいに減ってしまったし)

いま、手元にたまったカード(書き込んで、サイン済みのものも)、招待状、クリスマス用切手(3年分ぐらいあります)を見ると、「嗚呼。」と(漢字で)ため息が出ます。最悪なのはプレゼントしたいと思って買っておいた品物も包装したままでそこにあること。

現代ではメール、携帯を使えば、ぎりぎりでも必要事項を返事したり、お知らせすることが出来るので、ますます手が怠けてしまうようです。たまった書くべき手紙類の一角をなんとか切り崩して、今年はちゃんと「てがみ」をしたためて、投函できるような机周りの整頓を決行!コンピューターが便利すぎて、ちょっと「マインド・コントロール=操られて」いるかもしれない、という気もすることだし。

055.gif「エハガキの原風景」
私が1歳のとき、父が海外出張に行った折にハガキを送ってくれたことがあります。父の肉筆で何か書いてもらう機会も実はめったにないものですが、父の「お絵描き」をもらったことは、あとにもさきにもこの時だけでした。もちろん1歳なので受け取った時のことは覚えていないのですが、そのハガキは今でもあります。うさぎとくまの絵が、サインペンで描いてあるのです。1歳の子は字を読めない、でもそんな小さい子にもハガキを書いてみようと思った父の気持ち。何故自分は父に愛してもらったと知っているのか…、このハガキを見るたびに思うのです。まあ、わたしのクリスマスカードにはそんな威力はないのですが、それでも。心に「エハガキ」を一枚貼付けて、精進したい。

2。家を完成させる。

オルガンを階下に入れる、といいながら、オルガンはまだ入らず、先にグランドピアノが入りました。ヴァイオリンのコンクールをすることになった娘の伴奏のため、というのが切羽詰まった理由ですが、夫も作曲をするのに台所のアップライトではいまひとつ音楽の許容量が足りなくなって来たこと、家でのピアノレッスンと家族の練習時間が重なったとき不都合なこと…そして良い音のピアノに出会ったことがその他の理由です。そうするとチェンバロは隣の部屋に移動。その部屋にあったベッドも移動。いろいろ移動しまくっているうちに、内装とその部屋の家具がどんどんちぐはぐになって行きました。使っていなかった家の部分が今は最大に利用されている感じです。あとは地下の手つかずの空間も残っています。娘はヴァイオリンなので夜10時以降、朝8時以前の「近所用許容練習時間」外にも練習できる環境が必要になってきました。私たちも昨年なんとか事務室をほぼ完成できたので、あとはまだできていない階段のペンキ塗りを含め、家全体を整えたい。家の一部が常に工事中のように見えるストレスから解放されてみたい。あと少し、の片付けも頑張りたい。庭に、静かに祈るスペースも作りたい。

056.gif「家の原風景」
現在の家ではないのですが、初めてベルギーに来て、夫と入籍した年に二部屋と台所付きのアパートに住みました。そのアパートを探したとき、わたしはまだひとことも仏語を話せないので、新聞などの情報を見ても意味がわかりません。紙媒体は夫にまかせて、暇だった自分はとにかく鉛筆と紙を持ってブリュッセル音楽院の周辺を歩き回りました。窓に「貸します」の張り紙があれば、値段とそこの住所と連絡先の電話番号を書き留めて行ったのです。ある日、建物の間の細道を下って行くと急に視界が開けて、鉄細工のはまった様々な扉のある、美しいゆるやかな曲線の道なりを作っている家々の一角にぶつかる場所があり、その丸みを帯びた角の家に「貸し部屋」のオレンジの紙が張ってありました。そこが少し魔法にかかった場所のように感じられて、夫の当時住んでいた部屋に戻ってから「素敵なところがあるよ」と住所を教えると、その日、夫も新聞で同じところを見つけていたのです。音楽院と楽譜屋さんのちょうど中間地点の物件らしいから、と、新聞広告に丸をつけてあった。今の家も、(母の表現を借りれば)「家に呼ばれて」住みつくことになった経緯があります。万年工事中ではせっかくの魔法も消えてしまうので、「家は、住人として選んでもらった、もともと魔法の場所である」という敬意のようなものを忘れないようにしたい。


3。豊かに年を重ねたい。
これは!これこそは2013年の第一の抱負です。今年はもっとジョギングしたり、女性のチャリティレースに参加したり(マラソンよりもっと短いやつ!)、ピラティスも昨年は規則正しくできたので、ちゃんと続け、早寝早起きや食生活のことも含めて、なんとかこの、ちょっと早い「閉経」の毎日を乗り切りたい。本当に調子が狂いっぱなしなのです。しかしこれは面白い現象ではあります。この寒いのに上半身が暑くて暑くてどんどんセーターとか脱いでしまって、「ほかほか〜」!!かと思えば、急に寒くなりまた全部着直す…それに夜中に暑くて目が覚める、また、涙もろくなったり、腹が立ったら普段の3倍のスピードで沸点に到達してしまう!感情的で、怒りっぽい人、泣き虫な人の気持ちがこんなによくわかるようになるとは。でも、そのせいできっと演奏も変わるだろう!すっごく豊かな、良い演奏ができるようになるかも(常にポジティブ。)…と思ったら…弾く前に、以前はなかった「緊張度の高さ」!!わあああ「緊張しい」の気持ちまでわかるようになってしまった!夫は「僕、髪の毛白くなったねえ。」と今日初めて言いました。毎日少しずつ、を私は見て来ているから知っているけれど、彼は今日までそういう目で鏡を見ていなかったのかな。毎朝血圧をみんなの分計り、記録して、夫とたまにジョギングして、娘とたまにピラティスに行って。食事もできるだけ添加物を摂らないように、消化吸収のオプティマルな「エネジー・キュイジンヌ」に倣いながら。健康で、また大勢の人に聴いていただいて、大勢の方にお会いできる一年にしたい。弾くことを通じて、たくさん祈り続けられるように。

053.gif「親としての原風景」
娘が16歳になるのだから私だって年を重ねてきたわけだ。妊娠した当時、「このままオルガンの仕事をどうやっていくのだろう。まだまだ勉強しなきゃいけないことだらけなのにどうやって親になるんだろう。」と、頭のスイッチが急にふたつできたようで、どちらをオンにしたらいいかパニックになっていた。自然に「お母さんスイッチ」が入って、「娘の18歳(ベルギーの成人)までは自宅をベースにした仕事を中心にしてお母さん業と両立していこう」という風に決まっていったのですが、その「娘の18歳」まであと2年になった今年、演奏会を夫婦ともに少しづつ増やして行ける状況が見えます。今でも鮮明に覚えている夢は、娘が生まれて2週間ほどたったころのことでした。広い、コンクリートの屋上のようなところで、わたしはのどをからからにして走り回っています。何かを探している。何を?…あった!あれみたいだ。むこうに、たくさん靴箱のようなものが置いてあります。フタがしまっているもの、しまっていないもの…。その中のひとつに、ひからびた「うちの赤ちゃん」が入っていたのです。ずっと、面倒見るのを忘れていたら、あかちゃんがひからびてからからになってしまった。…これは…ノーコメント…。今でも思い出すと冷や汗が出ちゃう。でもそこからの出発でやっとここまできた。若い頃に戻りたい?も・ど・り・た・く・な・い。そういう、反面教師な原風景。


さて来年の1月にこれを読んで、私は一体何を思うのか。45歳になる年に「人生のおへそ」かな、と面白い気分になりながら、ひとつき遅れの抱負でした。










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# by momoyokokubu | 2013-02-06 04:37 | 鍵盤楽器

春の「ニ短調を巡るオルガン・デュオ・リサイタル」

(最新画像に差し替え、文章の書き足しをしました:1月9日)


春の「ニ短調を巡るオルガン・デュオ・リサイタル」_e0203829_381115.jpg


春の「ニ短調を巡るオルガン・デュオ・リサイタル」_e0203829_315418.jpg



2013年4月15日(月)、東京都武蔵野市民文化会館小ホールで自主企画しているオルガン演奏会のちらしが出来ました。小ホールには400席強の座席がありますが、今回は中央の200席のみの販売になります。マネージメントはCDの流通もお願いしているマーキュリーさんです。

(追記)
武蔵野市民文化会館でのチケット販売は窓口に出向かれての購入のみになりますので、電話その他でのご予約はマーキュリーさんの方でお願いします。
電話:03ー5276ー6803、メール:info@mercury-coo.com


前半に新しいCD「バッハとニ短調」から、ポピュラーな「小フーガト短調」や「トッカータとフーガ二短調」を弾きますが、後半には、バッハに影響を与えた、当時の即興演奏スーパースターのブクステフーデの作品や、バッハに影響を受けてオルガン曲を書いたメンデルスゾーンとマルセル・デュプレの作品を弾きます。第一教会旋法「ドリアン」の流れを汲む「ニ短調」という同じテーマでも、時代によって様式や趣味がこんなに違う、という点を味わっていただきつつ、最後にそれを総括するようなかたちで即興演奏を楽しんでもらおう、という趣向です。

現在ブリュッセル大聖堂の第1オルガニストで、即興と作曲の仕事もしている夫のグザヴィエが後半を弾く、という部分は、毎年来日していない夫にはチャレンジでもあり楽しみでもあるのです。わたしは即興を聴くとき、限りなくその人の世界が広がるのが楽しく面白く、今回はぜひ即興で締めよう!と提案したのでした。

即興を弾くのは難しいが、聴くのは本当に面白い。そのことにわくわくしつつ、前半を弾くわたしは、「よし、すっごく楽しい前座にするからね!トークもついて、後半を聴くまでにみんなでもりあがりましょう!!!!」と、いう気分に、すでになっています。

自分たちはたまたま夫婦ですが、夏に、夫の同僚のもうひとりのブリュッセル大聖堂のオルガニスト、バルト・ヤーコブさんが、夫とふたりで前半後半を弾いた演奏会を聴いた時も、タッチの違いや、ノリの違い、レジストレーションの違いや大曲が次から次へと出て来たりやる気てんこもりな様子(ふたりで半分ずつ弾くので勢いがすごかった)がすごく楽しくて、

「ジョイントコンサートはすごい!」

とすっかりおすすめムードになってしまったのです。

師走の中、春の行事のおすすめになってしまいましたが、この冬、たっぷりエネルギーやアイディアを仕込みつつ準備して行きますので、興味のある方はぜひ!聴きにいらしてくださいね!






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# by momoyokokubu | 2012-12-21 00:59 | 鍵盤楽器

Concert "Bach in d-Moll" 14/12/2012

Concert \"Bach in d-Moll\" 14/12/2012_e0203829_7104657.jpg

Concert \"Bach in d-Moll\" 14/12/2012_e0203829_711129.jpg



Vous êtes cordialement invité au concert du sortie d'un nouveau CD:

Bach in d-Moll
le vendredi 14 décembre 2012
à 18h30

à la Cathédrale Saint Michel et Sainte Gudule de Bruxelles
Parvi St Gudule
B-1000 Bruxelles
Orgue:Momoyo Kokubu

*L'entrée est gratuite
*La vente du CD et la petite apéritif à la sortie

Concert \"Bach in d-Moll\" 14/12/2012_e0203829_7213484.jpg


Concert \"Bach in d-Moll\" 14/12/2012_e0203829_721402.jpg



新しいCD「バッハとニ短調」日本発売(マーキュリーより2013年1月予定)に先駆け、ベルギーでCD完成記念オルガンリサイタルを行います。
2012年12月14日(金)
午後6時半より

聖ミシェル聖グデュル大聖堂にて
住所:
Parvi St Gudule
B-1000 Bruxelles
(ブリュッセル中央駅から歩いて3分)
オルガン:国分桃代
演奏会後にはCD販売と、アペリティフを用意していますので、どうかお気軽にお越し下さい。




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# by momoyokokubu | 2012-12-06 07:24 | 鍵盤楽器

東北のオルガニスト(4)

東北のオルガニスト(3)の続き、仙台での日記、完結編です。

7月27日(金)。

6時半に起きて温泉につかり、前日のようにおいしい朝ご飯を頂きましたが、「牛タンカレー」と書かれたおなべもありました005.gif。朝ごはんに板チョコを食べているベルギーのみんなに、「仙台では牛の舌のカレーが朝ごはんに出るんだよ!」と言ったらびっくりするだろうなあ〜と思いました。
午前中は仙台北三番丁教会。少しホテルから遠いので、9時にご自分の宿舎からタクシーに乗って来た参加者の末次さんがわたしも拾ってくれて、一緒に到着。9時半から11時は講演その2、ということで前回の古典派の時代から一気に現代までの歴史を話し、あとはポジティフオルガンでフロー・ペーテルスの小品などや、リードオルガンでフランクの「ロルガニスト」を弾き、解釈の点で少しお話し出来ました。

ベルギーの歴史を中心のお話にした前回も、オルガン台にのぼって演奏しつつ「これがベルギーが出来る以前にその地域がフランスだったころのご当地オルガニストの作品です」「これはスペインの影響を受けた時代の作品です」と、レクチャーコンサートにすることも出来たのですが、夜の部はそのオルガンで演奏会だったこともあり、デモンストレーションは控え、「なぜベルギーの文化はさまざまな外国の影響の上に成り立っているのか」ということをお伝えしたいと思いました。

しかし、自分は歴史の先生ではなく、やはり演奏解釈の方が慣れているので、この日、楽器を使って弾きながら説明するスタイルは楽しくて時間があっという間に過ぎました。この日を境に、実は「ベルギーの演奏様式とでもいうべきものが存在するのではないか」という思いが強くなり、以来王妃エリザベートコンクールの今年の演奏(ヴァイオリン)を思い起こしたり、秋になって他の楽器も含む演奏会などを聴くにつけ、だんだん「ベルギーらしさについて」という視点で見るようになってきた気がします。住んでいる場所を離れ、仙台でお話させていただく機会を与えられたことで、自分の「地元」の特色について考えるきっかけになったのです。

来年からベルギーで夏のオルガン講習会を始めますが、主題が何であれ(イタリアの音楽、とか、バッハの音楽)ベルギーのオルガンを使って演奏する講習会でもあるので、きっと「地元色」の出るものになると思います。そうしたいろいろな要因を超えて、私はただ、日本人の自分であるということも、考えたら不思議なことです。自分は何なのだ?とい問えば、「自分はまずクリスチャンだ」という気持ちも、仙台で強まりました。仙台教区が活発に音楽の取り組みをしていること、仙台の街にたくさんの宗派のキリスト教会が存在するのを見たこと、キリスト教団教区の講習会にはカトリックの方もプロテスタントの方も集まっていらしたこと。震災支援の(超教派?)エマオの存在を知ったこと。

ブリュッセルでの自分の生活でも、ちょっとしたことの積み重ねで、「いさかい」や「すれちがい」があり、もめたり、けんかしたり、そんな中でも「そういう態度はキリスト的か?」と、再考できるということが、日々「すべては愛を持って行わなければならない」という世の中でもっとも厳しく、且つシンプルなオキテを結局は一番大事におもっていることの証だとちょっと確認しました。
けんかせずに人と仲良くしたい、とか、良い音楽をしたい、とかそういうこととは別の次元のことなので、「日本人である自分」などを超えて、ある種の命綱になっているな、と。

そこから、「Soli deo Gloria」と譜面の表紙にでかでかと書いたバッハを代表とする、さまざまな国のさまざまな時代のオルガニストたちの信仰との接点を見いだす気持ちもあります。ベルギーで、完璧でニュートラルな様式よりもヒューマンな様式が好まれることは、「それも愛だから?」とキリスト教との接点を見いだす、住人その1でした。

キリスト教は宗教なのか?答えはイエスですよね。

でもキリストの愛は宗教なのか?
キリスト教を信仰していない人たちからも、日々たくさんの愛を受けているという事実は?
答えはもちろん…。

話が逸れました!

折ブログ「東北のオルガニストシリーズ」の最後を飾る写真はこちらの若い方達。
「これから」の、東北のオルガニストの皆さんです!


東北のオルガニスト(4)_e0203829_23484080.jpg



高校の先生と一緒に可愛い制服姿で参加されてました。
自分の生徒たちや娘と同年代の人たちを見たら、理由もなく胸がきゅんとするものです(理由はあるのだろうが、何か思う前にすでに胸がきゅんとしてしまうのだ)。奏楽やオルガンを頑張っている人たちばかりが大勢集まった講習会でしたが、このような若い人たちも参加出来る形態になっていることも素晴らしいし、夏休みの始めにこうしてクラブで参加(サークル?)されていることもいいなあ〜と思いました。


ほんとに来られて良かった。



と思ったことを最後に記しておきます。
この日の午後の個人レッスンはわたしは参加しなかったので閖上(ゆりあげ)へ末次さん運転のレンタカーで行って津波の惨禍をこの目で見ることもできました。閉会礼拝は参加者の方の演奏や合唱で、音楽講習会にふさわしく美しい音楽でしめくくられました。参加者の方たち、主催者のみなさん、ご苦労様でした!とっても楽しかったです。どうもありがとうございました。


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# by momoyokokubu | 2012-12-05 23:59 | 鍵盤楽器

「礼拝と音楽」155号(2012秋号)

「礼拝と音楽」155号(2012秋号)はリードオルガン特集です。

「礼拝と音楽」155号(2012秋号)_e0203829_2011299.jpg


その中でハルモニウムの記事を載せていただきました。

日本や北アメリカでは、ふいごの仕組みの違いから、吐気式のがハルモニウム、吸気式のがリードオルガンと呼ばれています。ヨーロッパにいると実は吸気式なのにハルモニウムと呼ばれている楽器も存在したりして、一概にはいえない所はあるのですが、私の感覚ではストップ・リストを見れば一目瞭然である、と思われます。そのあたりの違いが、「礼拝と音楽」のいくつかの記事を合わせ読むとよくわかります。私は大人になってからイギリスとベルギーで音楽を学んだので、ハルモニウムと呼ばれるものの方が音としては親しみがあります。しかし子供の頃、日本で出会った足踏みオルガンは全てリードオルガンだったと思われます。ストップ・リストを思い出すまでもなく、音色が違いました。

さて、「ハルモニウムが吐気式?意味がよくわからない…」という方もいると思います。吐気と吸気の原理を、ハーモニカを思い出して考えてみましょう。


小学校で吹いたハーモニカ。ドの場所に口を置いて、吹くと「ド」、吸うと「レ」が出ます。
ミの場所に口を置いて、吹くと「ミ」吸うと「ファ」が出ます。

…ちなみに、シの場所に口を置いて、吸うと、シが出ますが、次のドを「吹く」ためには口を次のドの位置に移動します。(ドレミファソラシ、は全部で7つの音でできているので)現在のクロマティック・ハーモニカでは、シの場所でもドが出るようなので、シの場所でもドの場所でも「吹け」ばド。さらに、「レバー」をかけることで全ての音が半音上がる(つまり#になる)しくみのようです。私が小学校で昭和50年代に使ったハーモニカは、学校用ということで「ダイアトニック式」で、シャープは出なかった気がします。また、シの場所でドが出なかった気がします。記憶は定かではありませんが…話が逸れました!

ここで言いたいのは、ハーモニカは、吹いて、吸う、というように「呼吸」というものが(文字通りだと、呼んで、吸うですね)その繰り返しであることを利用している、珍しい「管楽器」であるということです(吹くのみで鳴るフルートやオーボエとは違う)。共鳴させるための管がついていないことで管楽器とも言い切れないので「リード管楽器」になるのでしょうか。

ハルモニウムやリードオルガンは、(口ではなく)両足で空気を風箱に送り込む構造なので、足で踏んだときに空気が吹くしくみにもできるし、空気を吸う仕組みにもできます。扇風機のモーターが回ることで風を「吹かせたり」、掃除機のモーターでは「吸う」しくみになったりするように。

ハルモニウムは、そこを「吹く仕組み式」にして、発明されました。

まず、ハルモニウムの「おかあさん」であるパイプオルガンのふいごは「吹く仕組み」です。大パイプオルガンや、ポジティフ・オルガンに含まれることのある「Regalリーガル」ストップこそが、ハルモニウムのご先祖なのですが、普通のパイプも金属のリード板も同じふいごと「風箱(空気をためておく箱)」を使って鳴らすのですから「吹く仕組み」です。

ちなみに、ハーモニカの起こりは、パイプオルガンを調律するための「笛」でした。リーガルのリードをひとつ笛の中に入れて携帯しよう、と作ったのがドイツのオルガン建造家の人だったらしいです。そういえば、ア・カペラ合唱の指揮者が「La~」と鳴らした音が音叉の音と違うので、見たらまさしくこの「リード笛」だったりすることがあり、ヨーロッパでは今でも出回っているようです。

北アメリカに渡ったハルモニウムは「吸気式」になり、一般化されてリードオルガンの名称で生産されました。吸気式のリードオルガンは空気が安定していて弾きやすいということが一般に言われますが、ハルモニウムもエクスプレッションのストップを入れないで弾けば、足踏みが不定期でも風箱内の空気は一定に保たれるので空気量は安定します。ただ、出だしの音が出しやすいのは吸気式=リードオルガンです。そして、ハルモニウムは、エクスプレッション・ストップを入れて、ニュアンス豊かに演奏出来る、ということこそが特徴なので(パイプオルガンにはできないことが可能である、という点で)空気を安定させるということは表現力も減る、ということではあります。リード・オルガンの空気が比較的安定しているのは吸気式だからで、空気安定装置がついているからではない、と私は理解しているので、表現力は同様にあると思います。ただ上記のように構造が違うため、表現するための技術が違ってくると思います。

というわけで、吐気式と吸気式では、演奏するレパートリーが違う、音色が違う、そういったところでリードオルガンとハルモニウムは違う。と述べることは出来ますが、基本的に両者の置かれた現状は近いものがある、それを今回の「礼拝と音楽」の特集はよく総括しているように思います。

わたしの書かせていただいた記事では、ジャン・ラングレ(20世紀のフランスの作曲家)のハルモニウムのための小品をふたつ例にあげて、レジストレーション指定の読み方を主に記しました。一曲はクリスマスの「ノエル変奏曲」です。難しい曲ではありませんので、この12月にむけて、ハルモニウムをお持ちの教会の方や、ストップの似たものを利用することでリードオルガンで演奏できそうな方は楽譜をぜひ見つけて弾いてみてください。(見つけられない方はメッセージを頂けたら探すお手伝いをします)

次のブログではハルモニウムの「大曲」として、カーグ・エラートの作品のレジストレーションを読解したいと思います。「礼拝と音楽」の記事で紹介した「芸術ハルモニウム:Harmonium d'Art」と呼ばれる大きなハルモニウムに付属していて、記事にはページ数の都合で載せられなかった機能について説明できたら、と考えています。

「礼拝と音楽」155号(2012秋号)はここで購入出来ます。


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# by momoyokokubu | 2012-10-24 21:29 | 鍵盤楽器