おるがにすと・クロニクル Chronicle of an Organist

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普通の毎日

日本に15日滞在して、そのうち8日間は、それぞれ離れた地域で3回演奏会があり、少しずつ違うプログラムを演奏し、懐かしく心がじわっと来るような再会や、メールのみでやりとりのあった方たちとの初めての嬉しい出会いがありました。

その中で、実家の家族にもお世話になりつつ毎日一緒に暮らし、久しぶりの教会も練習で何度も通わせてもらい、親しみのある人たちとはぎゅっと凝縮した時間を過ごして、一番時間をかけて企画した自主演奏会が終了した次の日にはブリュッセルに舞い戻ってしまったので、なんだか、すべては夢の中のようでした。

次の演奏会の準備をしつつ、奏楽の仕事もピアノとオルガンのレッスンも再開して、また普通の生活が始まりました。初めの1週間は時差ぼけ的ボケもかましつつ(教会でミサを弾いているとき、グローリアのページが見つからなくて見事飛ばしたり。←神父さんはあきらめて朗読してました)。

私の次の演奏会は月曜日の昼、フィニステール教会でメンデルスゾーンのプログラムです。

夫は明日からドイツで、月曜日の夜、ジョンゲンのプログラムです。

今日は、わたしの「名付け子」で、パーカッションを習っているJ君(12歳)が泊まりに来たので、早速6月2日の演奏会の「おもちゃ交響曲」一楽章をみんなでさらいました。ドイツ語圏の子供向けに、「モーツァルト父子の旅」というナレーション付きのコンサートを企画していて、私はピアノフォルテという昔のピアノを弾きますが、「おもちゃ交響曲」(実は、レオポルド・モーツァルトの作ではないのですが)では太鼓とか、トライアングルとか、おもちゃっぽい楽器が「ちゃっちゃっ」と合いの手を入れるのを、私の周辺の子供たち5人(ピアノの生徒とか、…)に弾いてもらうため、その曲の打楽器類パートはわたしがウラで仕切るのです(そういうのを「指揮」とも言うが、私のやっているのはもっと「こどもだまし」なもの。だまされて弾いてくれる子供たち、可愛い。)

みんなで楽器を持ってピアノの周りに集まり、楽譜を肩を寄せ合って読んで行くと(第一ヴァイオリンはプロの人なので今日の「下練習」は来ず、夫がピアノで足りないパートを弾いていた)、私も老眼が始まったことが顕著にわかります(子供たちは見えるのに私は見えん!)。

それにしてもトライアングル、2小節の間つづけてなめらかに弾くのとかって、難しいのね。

第2ヴァイオリンパートの娘は、練習のあと、ひとりずっとメンデルスゾーンの協奏曲の「いいとこ」(のみ。ダイジェスト?!)を弾いていた。先週は日本でバッハとかバロックものにどっぷり浸っていたのに、いま家の中にはロマンティックもの(モーツァルトはクラシックだけど…)の音がずっと聴こえている。

自分のうちで良いことがあるとしたら、隣近所との暗黙の了解で、朝9時ー夜10時の音出しでは壁を叩かれないとわかっているという状況の中で、鍵盤楽器が家の中には3台あって、最悪の場合でも家が縦に細長いため3つの階で同時に練習できること。

そして、練習の合間に、好きなときに食べたり飲んだり出来ることだなあ、としみじみ思いました。

これ以上の環境を望めば、ばちが、あたりますね。

(それはそうと「ばち」、って何のことでしょう?
昔、弟が「バッチが当たるの?」と訊いたっけ。
たいこの「ばち」だったら、痛そうだわ〜。)

でも、バチ当たりなことに、

(…今自動変換で、バチ当たり=罰当たり、って出ました!バツのことだったんですね〜)

私たちには「小さいパイプオルガンと一緒に住みたい」という夢もあるんですけど…

それはいますぐの夢ではないし、やっと初夏ともいえる季節に入りつつあり、教会に出掛けて練習するのも楽しい今日この頃です。

私たちには、

音楽室と
台所と
教会

があれば、普通の生活が営める


ということです。


演奏会で旅をするのが非日常なら、そこには音楽室の代わりになる場所と、台所の代わりになる場所と、中に入れてもらえる教会が、確かにあった。これからの季節、よそに演奏しに行く機会は増えますが、普段からこの3つを意識的に「大事」にしたいです。

そういえば、だいじ、っておおきいこと、という字なんですね…。


小さい熟れたアボカドを、朝ご飯のトーストに載せて食べるのが幸せな、普通の初夏の日。

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(普通感を出したかったので「そのまんま」な写真で失礼します…)


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by momoyokokubu | 2013-04-27 05:17 | ひとりごと

日本でのおもしろ写真

15日間の日本滞在のあいだ、

これぞ日本の風物016.gif

といろいろ新鮮な風景を堪能しましたが、今までと違ったのは、

その1。夫と娘と一緒の行動が多かったこと(視点が違うからか、妙なことでもやたら盛り上る)
その2。自分にとって1988年以来初めての春の日本だったこと(25年振り?!)
その3。関東だけでなく、1週間のうちに東北と関西にも行ったこと

の3点。


昨日から家族3人で撮りためた写真を整理していて、
「何この写真!」
「いつ撮ったのこれ〜」
と、同じ物を見ていても全然違う写真をそれぞれ撮っていた時もあるし、別行動時に撮っていた写真もあるしで、旅行が2倍楽しい。

その中から、都内、関西、東北での写真を、ブログ用に、厳選〜。
あっ、でも、深い意味はないので、「どこが面白いんだ?!」と思う方、今日はスルーして下さいませ(音楽全然関係ないです)。

都内のLa Photo

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渋谷駅ビルの、大きなガラス張り通路からの眺め。

ここで最初は小降りの中をふつうに人が歩いていたのですが、「斜めにも渡れる信号」というのがベルギーにはないため、夫と娘は

「すっごいスペクタクルだよね〜」
と立ち止まって見物。

すると雨が強くなって来たのか、一斉に傘をさす人々。

それも、花が咲くように、一斉に傘をさしたのでした!

「演出家、ブラボー」と、叫びたかったベルギーおのぼりさん一家。
この場合、演出家は…神様?雷様?

そのあと、高校生の娘のために遊びに行った竹下通りで、折り畳み傘を私が渡してあげたのに、かさをささないベルギー人、ふたり。

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「雨が降ったら、傘をさす。」という考えが何故ベルギー人には希薄なのか?そして何故日本人はみんな傘を携帯しているのか?わたしは、ちゃんと携帯していたし、この時もさしていました。25年も日本に住んでいなくても。←意地?!



関西のLa Photo

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宝塚周辺で乗った、阪急電鉄のグリーンのベロアの座席と光り輝くその床。
「この座席まるごと自分の部屋に持って帰りたい〜!」
と騒ぐ、若干2名の人たち。
「このぐらい自分の部屋の床をきれいにして下さい〜!」
と叫ぶ母1名。

公共の場がこんなに奇麗だと、こんなに移動も気持ち良いのだということを忘れていました。

この1週間後に、トランジットでローマで数時間過ごしたら(4時間もあったので市内観光を組み合わせたのですがなんという、Caos!!!)、どこも「死ぬほど」ごみだらけだったため、夜中にブリュッセルの空港に着いた時、真夜中のお掃除部隊が出動していて、3人で思わず拝みそうになり、明らかに「ぴかぴか床症候群」に罹ったことを認識しました025.gif



東北のLa Photo


石巻、遊楽館のオルガンを制作した勝浦オルガンのアトリエを、わがままを言って演奏会のあと見学させていただいたのですが(夫がオルガンのアトリエフェチのため)、

「ハルモニウムがいっぱいある〜!!」

と、夫が萌えながら撮った写真。
(実際には、この位の幅の楽器なら、仏式ハルモニウムではなく、リードオルガンという英米式の足踏みオルガンで、これはヤマハ製のコレクションらしい)

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大事な古い楽器が並べられて、毛布がそれぞれきちんとかかっています。ひろびろとした郊外ならではのアトリエは、最大で6メートルの楽器を中で組み立てられるようになっているということで、私たちが親しくしているベルギーのスパ(の、街からは随分離れたステールというところ)にある、トマ・オルガン製作所の風景を思い出したのでした。こちらも天井はあくまでも高く、「楽器が王様」の場所(この写真では、ドミニックさんの誕生会のため、風船も他のところではなくてオルガンに付いています)。

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…などという説明を抜きにしても、滅多にカメラに触れることのない夫が石巻で唯一撮った上の写真、あまりに変で面白くないですか?!?!仙台で今回お世話になった私の高校の同級生の旦那様と、私は全然違うところを見ているし…私は受けました019.gif!!


この旦那様は演奏会当日、車で仙台から送り迎えして下さり、私の友人である奥様の車は娘さんと私が一緒で女子車両、夫と旦那様と息子君は男子車両で、夫ともいろいろ英語でおしゃべりしてくださったようで、夫はとても楽しいときを過ごさせてもらいました。

「この次は『なまこ』っていうものを食べるように言われた〜」ということです(た、たべたことない…たべたいかわからないぞ私は…)。

































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by momoyokokubu | 2013-04-19 18:16

4/15予習編その5(最終回)

4月15日の演奏会の後半の作品はバッハ以外の作曲家の作品です。
前半は私が弾きますが、ここからはグザヴィエが弾きます。


まず5曲目。バッハがいいなあ〜とあこがれていた、ディートリッヒ・ブクステフーデのトッカータニ短調です。ブクステフーデさんは、そういう名前の街がデンマークにあり、ドイツの北の国境に近いため、ドイツはリュベックのオルガニストでしたが、ご先祖はスカンジナビアの人だということが言われています。

かたや、中央ドイツ、アルンシュタットのオルガニストだった20歳のバッハさんは、なんと

「修行のため、リュベックにブクステフーデ大先生の即興演奏を聴きに行って参ります。つきましては、徒歩で行きますんで4週間の休暇を下さい」

と教会に言い残して出掛け、4週間どころか3ヶ月の間、メールも携帯メッセージも送らずに、何の音沙汰もないまま帰って来なかった!というのですから、無責任じゃあありませんか。

と、いうのはもちろん冗談ですが、教会から随分叱られてしまったらしいです。ちょうどいい機会とばかりに、「いつもわけのわからない和音をつけて伴奏をするのも良くない」し、「どこの馬の骨ともわからない女性を合唱で歌わせた」などと批判されて、片道400キロの徒歩旅行からやっと帰ったと思ったら、ふんだりけったり、の目にあったバッハ。

実はこの歌わせた女性が、後の奥さんになるマリア・バルバラだったということや、リュベックでは素晴らしい即興を堪能して、ブクステフーデ大先生にもお目見えする機会を得て、演奏を聴いてもらってすっかり気に入られ、彼の後継者になることを持ちかけられたのに、その条件が「自分の娘と結婚すること」だったことが(バッハより10歳年上の女性)ネックになったのか、そのまま帰って来た…など、…

300年後にウィキペディアなどというものによってそんなプライベートな話を世界中に吹聴されるなどということを20歳のバッハが知っていたら、一体どういう気持ちになったでしょうか015.gif

そんな逸話のある大ブクステフーデのトッカータ、昨日のバッハのトッカータの記事で触れたように、自由な部分とかっちりした部分が互い違いに出て来る即興の様式で書かれ、

「あれ?この出だし、バッハもこの作品の影響受けてるんだなあ〜」

とピンと来るような部分もあります。

続いて6曲目はロマン派の作曲家、メンデルスゾーンのオルガンソナタ第6番。フェリックス・メンデルスゾーンは、裕福なユダヤ人家庭に生まれましたが、ドイツの文化により溶け込んで音楽のキャリアを積めるように、メンデルスゾーン父の決断でユダヤ教から改宗し、キリスト教徒としての教育を受けました。プロテスタントの賛美歌の「主の祈り」をテーマに繰り広げられる、ヴァリエーション形式の作品です。メンデルスゾーンは、お姉さんのファニーさんと共に、おそろしく音楽の才能が幼少から顕著だったらしく、14歳のクリスマスプレゼントに、おばあさんから、バッハの「マタイ受難曲」の総スコア楽譜をもらったというから驚きです。

この「マタイ」は、ものすごく長い、合唱ふたつ、オーケストラふたつが、イエスの受難を「マタイの福音書」の視点で物語る「巨大カンタータ」というようなドラマチックな作品で、楽譜の量は半端じゃないのですが、もちろんスキャンしてコピーするだけで何時間もかかっちゃったはずです。というのは冗談で、なんと手書きの写しだったらしいです(と、いうか、もちろんそうするほかにはないのでした)。

そんなものを手に入れたおばあちゃんはすごい。いや、可愛い孫のフェリックスのためならなんでもするという、祖母の溺愛はいつの時代も変わらず、というところでしょうか。

と、いうわけで、メンデルスゾーンは若い頃からバッハの「マスターピース」に親しみ、1829年3月11日、20歳の時にベルリンでマタイ受難曲の「公開演奏会」を自らの指揮で行ったのですが(1000人聴きに来たというからすごい)、バッハの死後、みんなから忘れられていた「マタイ」の、初めての再演だったそうです。既に楽器がバッハ当時とは違っていて違う楽器で代わりに演奏したパートがあったり、長過ぎるので割愛して縮めたりしたらしいです。こうしてバッハ復興の幕は切って落とされたのでした。

さきほどのバッハの徒歩旅行といい、20歳の天才の方々、ほんとに何をやりだすかわかりませんね。

メンデルスゾーン君によって始まったバッハ復興は、19世紀にはベルギーのレメンス先生、20世紀フランス初頭にはヴィドール先生によって引き継がれ、これまた天才オルガン即興家で作曲家だったマルセル・デュプレによって、ゆるぎのない「オルガニストのバッハ信仰」(特にフランス語圏)を確立するに至りました。


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デュプレは「エンサイクロペディア」を編集するような熱意を持ってバッハのオルガン作品全てと取り組み、そのひとつひとつに「正しい」指使いとペダルの足記号(かかととつま先のどちらを使うかという表示で、○がかかと、⋀がつま先の印。私はドイツ式で、かかとは∪マークを使っていますが)を書き入れ、演奏上の注意も指示したバッハのオルガン作品全集を出版しました。

バッハの賛美歌=コラール前奏曲を模倣して、デュプレも前出のアルンシュタットの教会の人が聴いたらそれこそ卒倒しそうな現代的な和声付けの「コラール前奏曲集」も残しましたが、彼の真骨頂はやはり自由な様式の作品。

1931年2月13日、ベルギーの王立音楽院で行われた「十字架の道」演奏会は、詩人ポール・クローデルの詩に、当時45歳のデュプレが即興でオルガンをつけて行くという形式で行われました。カトリック教会に行くと、左右の壁に、十字架に向かうイエスの14の場面の絵が架かっていることが多くあります。あれを、詩と、音楽で表現したもので、全部演奏するとオルガンの部分だけで軽く一時間を超えるのですから、詩の朗読を入れたら一体どのぐらい時間がかかったことでしょうか。それを、デュプレは家に戻ってから、記憶と録音をたよりに、譜面におこして、発行したのですから、本当に素晴らしく働き者です。でも、この写真でもわかるように、アメリカを中心に世界中を回って、2000回のオルガンコンサートを弾いた、という人ですから、現代から見てもなかなかこれほどの働き者オルガニストはめったにいないでしょう。

前置きが長くなりましたが、7曲目に、このデュプレの長大な「十字架の道」から3曲抜粋で、「20世紀のフランス式即興」の世界に触れていただき、8曲目に、現代の即興演奏家でもある夫のグザヴィエが復活のグレゴリオ聖歌、「Victimae Paschali Laudes」のメロディーに乗せて即興して演奏会をしめくくります。先ほど、メンデルスゾーンとバッハの20歳の冒険に触れましたが、「十字架の道」を即興したデュプレが45歳ならグザヴィエも今45歳です。

これは全くの偶然ですが、即興の出来る夫にすら(わたしは演奏会レベルでは出来ません)、

「即興は即興では出来ない」

ということらしいので、武蔵野の演奏会は「45歳の冒険」ということで、頑張ってもらいたいと思います。

長い文章をさいごまで読んで下さって有り難うございました!

15日に武蔵野市民文化会館でお会いしましょう!!


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本日のまとめ

武蔵野のコンサートの後半の曲は、

ディートリッヒ・ブクステフーデ/トッカータニ短調BuxWV155
フェリックス・メンデルスゾーン/オルガン・ソナタ第6番二短調op65
マルセル・デュプレ/「十字架の道」op29より第2、11、12留
グザヴィエ・ドゥプレ/「Victimae Paschali Laudes」による即興


です。

本日の聴いとこう

バッハ/マタイ受難曲
(ここに書いておいて何ですが、15日の演奏会の前までに全部聴くのは長くて無理かと思いますので、演奏会のあとにでも、聴いたことのない方はいつか全曲聴いてみて下さい)
・その1:バッハの譜面通りのオリジナル・ヴァージョン(いろいろな録音があります)
・その2:メンデルスゾーンが演奏したときのヴァージョン(私の知っている限りではロジャー・ノーリントンがメンデルスゾーンのメモなどから再構築したものが録音されています)
























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by momoyokokubu | 2013-04-12 03:00 | コンサート予習用

4/13石巻遊楽館昼コンサート

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石巻の遊楽館であさって土曜日のお昼、12:15〜13:00に弾かせていただきます。

パリでバッハのカンタータ第1番や、
パリからの使者
東北のオルガニスト
で、縁が出来た遊楽館

オルガニストの後藤香織さんが、普通は30分の昼コンサートを、「もっと長く弾いても良いです!」とおっしゃったので、では、ふたりで45分弾かせていただきます!と夫のグザヴィエには初めての東北へ伺うことになりました。

私は昨夏から2度目ですが、今回は高校時代の友人がお住まいであることもわかり、お世話になることになり、再会の楽しみもあります。

カストールとポルックスの序曲/ジャン=フィリップ・ラモー(連弾)
アンダンテ(トリオソナタ第3番より)/バッハ(国分)
小フーガト短調/バッハ(国分)
トッカータとフーガニ短調/バッハ(国分)
アレグロ(ブランデンブルグ協奏曲より)/バッハ(連弾)
早春賦による即興(ドゥプレ)
ヘ長調のマーチ/ルフェビュール=ウェリー(デュプレ)

のプログラムで、最後は軽やかなロマン派フランス風で楽しく締めくくります。

先日の宝塚の演奏会では、当日が私たちの入籍の結婚記念日だったのですが、石巻は教会での結婚記念日で(入籍の一年後に式をしたので、日にちはふたつあるのです)、初めて春の日本に来た夫に桜を見てもらえて幸福でした!新婚旅行はもろもろの事情でできなかったので、この春の帰国は、

xx年ぶりの新婚旅行

になりました。

東北の現在の状況の厳しさを考えると、オルガンの仕事(演奏する人も、メンテナンスする人も、先生も)に拘る方たち、文化の仕事に携わる方たちのご苦労は計り知れません。わたしたちも、行ってみて、みなさんにお会いすることで「東北の状況は関東の、そして日本の問題であり、私自身の問題である」という気持ちが強まると思います。

何も出来ないなりに、自分たちの大好きな東京が、東北にいかに依存しているかを、身をもって感じに行くための旅でもあります。

夫には、いつも説明したり動画を一緒に見たりしていましたが、実際に一緒に東北を訪れることで、オルガン活動を通じて、なにより深い友情の念を育んで行く始まりの時間を共有できることは、私たち夫婦の人生にとって、かけがえのないことです。

音楽がつないでくれた縁は、限りなく遠くまで、わたしたちを運んでゆく。
そんな思いになる、4月の「結婚記念週間」です。







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by momoyokokubu | 2013-04-12 01:11 | 鍵盤楽器

4/15予習編その4

その1
その2
その3
にひきつづき、4月15日の演奏会の予習編第4弾です。

さて第4曲目は、パイプオルガンといえば、この曲!
「トッカータとフーガニ短調」。

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ソプラノでオルガンも弾いている日本人のお友達が、持ち前の演技力を発揮しつつ、出だしのメロディーに合わせて、

「ちゃらり〜。鼻から牛乳。」

とドラマティックに歌い、「日本の音大では、こう替え歌で歌うんだよ。」と教えてくれてから、この曲に対する懐疑心が深まった…かというとそんなことはなく、もともと、この曲には多いに怪しい思いを抱いていたのです。

この最初のページの「バッハらしくなさ」は一体何?!

それに、何回もハムスターが延々と輪っかを駆け上がていくようなコードの旋回する部分とか、まったくハーモニーが同じままで「水増し」的な部分とか、なんとなくいつもと違うじゃん?!

と、誰もが思っているのかどうかはわかりませんが、

音大では先生もこの曲を教えてくれません。

レッスンの機会がないわりには、結婚式ではやはり好まれるため、気がついたら弾けるようになっていたというような、レパートリーの中で不思議な位置を占めている作品だったのですが、CDの3枚目でトリオ・ソナタニ短調を録音するにあたり、録音するオルガンがイタリアにあることその他の要因を考え合わせて、有名なのにきちんと対峙してこなかったこの曲を、即興的&イタリア的にとらえ、カタいことは考えないで解釈してみよう!と思いました。

そのときに、冒頭のジョークを思いだして、このバッハの若い時代の作品が自由度の高い筆致になっているために、あらゆる解釈を受け止め、受け入れてしまう懐の深さがあるのだとわかりました。

その結果、「書いていないこと」をやっている演奏も実は多いのではないかという気がするのです。

それは、ブクステフーデなどのStylus Phantastics奏法にみられるような、

「ここは全部16部音符で書いてあります。でも、出だしは緩やかに、そしてだんだん音が低い方に落ちて行くのにつれてだんだん早く弾いてください」

という、即興的アゴーギグ(=強調するためにおおげさに表現すること)のような解釈上のルールを、

「ここはあきらかにStylus Phantasticsにあてはまらない」

と思われるところにもあてはめているため、構築をしっかりしなければいけないフーガ的部分や、協奏曲的にリズムが「ダンス」になっているところで、テンポが変化してしまう演奏のことです。

バッハは万人に受け入れられ、どんな解釈でも感動を呼ぶ、という、すさまじく「腐っても鯛」(ああ、この言い方は身にしみます。自分がヘタに弾いたときにすら、涙を流してくれた人がいた。バッハはなぜそんな作品を書くことができたのか)な作曲家ですが、そのせいで

「じゃあ、どうやって弾けというのか」論争

がここまでしつこく続いている作曲家も珍しいのではないか、と思います。

これは深入りすると机上の空論になってしまうぐらい難しい問題で、音楽理論家の先生たちのおっしゃっていることは全て正しいのに、弾いてみると不思議に一致しないことだらけなのです。

と、いうわけで、私はレッスンするときに

自分が気に入るように弾いて下さい」

とお勧めすることにしています。

が、本人の気に入る演奏、というのがまた遠大な理想郷のようなもので、

ほんとに一生楽しめます、バッハのオルガン演奏。

とまあ、話は逸れたような逸れていないような、私にとって、自分の気に入るバッハとは一体何か、と跳ね返って来るこの議題。

とにかく「ここはStylus Phantasticsだ」という部分は、きっちり別に取り出して、自由に、良いヴァイオリニストのようになめらかに演奏し、

「ここは構築用のパートで、フーガかフガートかコンチェルタントかダンス」という部分はそれぞれの『ノリ』で、レンガの家のように、積み上げていく。言ってみれば、Stylus Phantasticsじゃない部分は全部構築用。

最後の問題はその部分部分をくっつける、「のり」の部分。

と、いうわけで、このトッカータとフーガのような「ゆる+かち」の交錯する作品は、バッハらしくないとも言えますがカンタータなどでレシタテーヴォとアリアが交互に出て来るのにも似通っており、結局のところ、バッハの心が自在だっただけで、短い部分が自然に流れでつながるようにできているはずなのだ、と信じて、「書いてある通り」「目にこうだと読める通り」を信条に、自分なりの演奏をしてみたいと思います。

CDを録音したときは、ミラノの聖シンプリチャーノのオルガンの精度が高くて、オルガンが「こう鳴りたいんですよ」と導いてくれるのに従っていたら本当に何もしないで解釈にまとまったので、そういう演奏になっています。

おととい、宝塚ベガホールで演奏したとき、朝ホールで練習していたら休憩時間に来た娘が

「トッカータの解釈変わったね」

と言ったので、現在でも「書いてある通り」を弾いているのにもかかわらず、ほんっとに変幻自在な、不思議な曲よね、としみじみしているところです。

娘には「解釈変えたね」とは言われなかったので、その変化もまた自然であることを祈りつつ。

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本日のまとめ

武蔵野のコンサートの4曲目は、バッハのトッカータとフーガニ短調BWV565。バッハらしからぬ、流麗で自由気ままな作品。

本日の聴いとこう!

バッハ/トッカータとフーガニ短調BWV565

Stylus Phantasticsを理解してみたい方は

ディートリッヒ・ブクステフーデ/トッカータなど
このYoutubeのリンクその他で、聴いてみて下さい。





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by momoyokokubu | 2013-04-11 00:33 | 鍵盤楽器