その1と
その2にひきつづき、その3、行きます。
4月15日の武蔵野市民文化会館での演奏会の3曲目は、ついに出ました、バッハの
トリオソナタ第3番!!!!
なぜこんな「まわりくどい」ことをしてるんだろう、という気分にならないでもない、私の
「トリオソナタCD」シリーズ。
バッハが書いた、6つのトリオソナタのひとつひとつを一枚一枚別のCDに収めるということを思いつき、ソナタごとに一番ぴったりなオルガンに行って隔年で録音し、一年後に隔年でリリースして行くという…それも自家製で…製作にはお友達大集合で、写真、グラフィック、録音を手伝ってもらって…日本では流通もしていただいて…ああ、そう書いていると夢のような企画ですね…感動して来た…
みなさんご協力ありがとうございます!!!
うるる
話が逸れました!
いや、普通のオルガニストの方々は、一台の、「これだ!」というオルガンを見つけたら、そこに幾晩かこもり、6曲のトリオソナタを、一曲ごとに3楽章あるのを、全部でまあ18楽章になりますよね、それをですね、ほんの数日のうちに!全部!録音しちゃってですね、2枚のCDとかにして、録音したその同じ年のうちにリリースしちゃったりするわけですよ!
凄いですよね!
素晴らしい事です
そのCD一箱(というのかな)買ってしまえば、珠玉の、バッハのオルガントリオソナタ全曲を一生楽しく聴ける、という!
あ、今日の主題からまた逸れました〜
でも、話がそっちに行ってしまったついでにお話しすると、私が高校生の時に初めておこづかいを投資して購入した最初の「カセットテープ」こそが、トン・コープマンの弾いた「6つのオルガントリオソナタ全集」でした。カセット1本の表と裏で全部入っちゃっていたと思います。えっ…一本のテープ?…ものすごく速いテンポで弾いていたから可能になったのか?…カセットってそんなに長時間のものを録音出来たんでしたっけ…そういえば90分とか120分とか、ありましたね!…あんな手のひらに入るような小さいカセットの中に、6曲全部!買った時は嬉しかったですわ〜。
それで、トリオソナタ第3番!これがまあ、全集では、曲順に入っていますので、3番目に、入っていたわけです。この曲は、以前に、台所でラジオを聴きながら食事作りをしていた母の手伝いをしていて、聴いたことがあり、とにかくこの曲をもう一度聴きたい!と思っていました。
初めて聴いたときに、お水の音や、炒め物をする音の向こう側に、バックグラウンド的に流れていたはずだと思うのですが、
「わわわ!何この音楽!」
と口がぽかんと開いてしまいました。
そして、周りの物が一切見えなくなり、他の雑音も一切聴こえなくなった…
ような印象があります。
聴き終わってはっと現実にもどったらフライパンがこげていた…かどうかは忘れましたが、
「今の、何だったの!全然思い出せない!!」
…心を奪われすぎて、脳みそのスイッチ切っちゃってました
ただ可憐なメロディーだったこと、デリケートでじわっとくるハーモニーだったこと、流れるようなパッセージに満ちていたこと…
曖昧な、つかみどころのない、…
「もう一回やって!!!!!!!」
…クセになりそうな。
そうですaddiction。
心の、どこかを、こう、ぐぐっと刺激していくものがあるのです。
かといって、「いやだ、あのメロディーが頭に染み付いちゃってはなれない〜」というタイプの…
(個人的には、ビゼーの「アルルの女」とか。ラジオでふと聴いちゃったりすると、もう一日中リフレインしちゃって大変なことに。耳にくっつきやすいメロディーなのでしょうか。ぜんぜん好きじゃないメロディーを、気がつたらくちずさんでいたり。)
…そういう音楽ではないのです。再度再度聴かないと、とにかく味わえない気持ち。
というわけで、トリオソナタ第3番を「もう一回聴いちゃお
」っとやろうとすると、なにせ、カセットなので、
ぐるるるるるるるるるるるる
と早送りしたり
ずとととととととととととと
と巻き戻したり、カウンターの数字を凝視しながら、トリオソナタの第3番だけ聴くためにまあいろいろ苦労したという、80年代のお話でした(昭和です)。
と、いうことでですね、全く今日のはお勉強になっていないのですが、
しのごの説明したくないぐらい良い曲です。
それなのに〜それなのに〜全然有名じゃないので、さみしいような、うれしいような(大事な物はひとりじめしたい)
あまりに大好きな曲なので、トリオソナタCDシリーズ、一枚につきひとつのソナタを録音して来て、第3弾のd−Moll、ソナタ3番を録音出来たことでひとつの大きな夢がかなってしまい、満足して、続きが録音出来なくなるという、「ポスト・ドリカム・トゥルー・ブルー(あるのかそんな言葉)」にはまりこまないように自戒しつつ、この春の演奏会では、
4月8日(月)宝塚ベガホール(19時から):第1楽章
4月13日(土)石巻遊楽館ランチタイムコンサート(12時15分から):第1楽章
4月15日(月)武蔵野市民文化会館(19時から)::ソナタ全曲1、2、3楽章
3会場でかならず弾かせていただきます!!
第1楽章だけでもかなり美しく、弾いていて陶酔するぐらいですが、3楽章を続けてお聴きいただくと本当に心が震えます。
なので、当日、「今の、何だったんだ!」とならない為にも、予習として聴いておくことは、おすすめです。
本日のまとめ
武蔵野のコンサートの3曲目は、バッハの
オルガン・トリオ・ソナタ第3番ニ短調、BWV527です。
楽章は3つあって、
第1楽章=アンダンテ(散歩しているようなテンポで)
第2楽章=アダージオ・エ・ドルチェ(リラックスした気分で、そして甘く)
第3楽章=ヴィヴァーチェ(生き生きと、速く)
という構成で17分半ほどの作品です。
(トリオソナタの中では長い方です)
本日の聴いとこう!
バッハ/オルガン・トリオ・ソナタ第3番ニ短調BWV527
(番外編)
これは、かならずしもお薦めの演奏ではないかもしれないのですが…
探してみたら、やっぱりありました。
トン・コープマンヴァージョン。
最初の楽章、私の散歩のイメージと全然ちがうテンポです。これは「小走り」ではないか…あるいは「競歩」…実際、このYoutubeでは13’45と、ありえないぐらい短い時間で
ひき逃げ弾ききっていらっしゃいます(多分2楽章の繰り返しが省略になっている?)!
でも、これが、1986年に、私がカセットで購入したヴァージョンだと思われます。
こんな演奏だったのかあ…思い出せないわあ…と思いながら聴きました。
私の解釈と随分違いますが、これが歴史的演奏なのは確かです。
コープマン氏をご存知ない方にひとこと:世界的に有名なオランダのチェンバロ奏者で、アムステルダム・バロックという一世を風靡したバロックオケの指揮者。オルガニストでもありますが、タッチはやや「固い」。オルガンは「なでて」鳴らすものなのに彼は「叩いて」いる。それなのに巧いのです。独特だけれど楽しい解釈。
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