おるがにすと・クロニクル Chronicle of an Organist

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現代作品のオルガン演奏会

ジャン=ピエール・ドゥルーズJean-Pierre Deleuzeの「4つの俳句によるエヴォカシオン」から抜粋の2曲を含むプログラムで、きょうのランディ・ドルグLundi d'Orgueコンサートを弾きました。

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ベリギー人、ドゥルーズの「4つの俳句」は、札幌キタラホールの第6代専属オルガニストだった(やはりベルギー人の)ジャン=フィリップ・メルカルトさんが、2004年に委託し、キタラで世界初演された作品。

2007年にはQuatre Haïku : Évocations Poétiques pour Orgueという題で、ブリュッセルのCebedemから出版されましたが、こちらの第2曲目は当時の作品より長い新しいヴァージョンになっています。

昨年、私は印刷された版を持っていなかったので、手稿譜のオリジナル・ヴァージョンでその第2曲目を弾きました。その時は演奏会の数日前に「こっちが最終版なの。」と言われて印刷された版を渡されたけれどすぐには弾けず、今年、リベンジ。と思い練習していました。でも、先週になって、ドゥルーズ氏は今日の演奏会には来られないということになってしまいました。ところが、よく考えてみると、最終稿のヴァージョンは世界初演になります。作曲家が来てくれないと「お祝い」にならないので(折角なのにもったいないので)、第2曲は別の機会に弾くことになり、急遽第1曲と第3曲を弾くことにしました。

正岡子規の「鴛鴦(おしどり)の羽に薄雪つもる静けさよ」

与謝蕪村の「霜百里船中に我月を領す」
の2曲です。

プログラムのその他の作品は、現代曲を生かすために、不協和音が日常言語に聴こえるように組んでみようと決めていました。演奏会の最初は仙台でも弾いたベルギーのバロックの作曲家の作品なのですが(このシャコンヌ大好き)、内容が進むにつれ、「住んでいる世界が湾曲して時空が歪んでゆく」という流れのプログラム。

俳句が冬のものふたつになってしまったので、途中で「赤とんぼ」のテーマで即興することにしました。変ホ長調の、ゆうやけこやけのあかとんぼ。お客さんは「美しいメロディーねえ〜!」と感心していました。オルガンの様々なレジストレーションに載せて、この聞き慣れたはずの旋律を弾いていると、音楽としての可能性が随分あるなあ、とわかりました。こうすると決めていた訳ではないのですが、途中から即興がお祭り風になってきたりして、自分でも意外でした。

それにしても、「こやけ〜の」と「あかと」のところの音符、歌うのすっごく難しくないですか042.gifこれ子供たちも歌ってるんですよね!なんかすごい。

アルペジオみたいになったあげく、6度急降下。ペダルで主旋律を取ってみたら、飛ぶので思いがけず難しくてびっくりしてしまいました。日本の旋律を再発見…。

ドゥルーズさんも好きだと言うメシアンとラングレも、ルーツがわかるかな、と思って入れました。

ラングレでは、思いっきり半音階の和声で「へろへろ」な方向に行ってしまうのにも拘らず、フーガです。だから時間的な構築はしっかり規制されていて、不協和音も「普通の5−3の和音」を弾く手つきでをきゅっきゅっと入って行く。そういうアプローチだと、優しい普通のタッチなのに、どんどん不協和音という「(重いはずの)緞帳のひだひだの奥の方」まですううーっと開けて入って行けるような、不思議な力が与えられたような感じが味わえました。

最後は簡単に一息で終結する、軽いけれどメロディックなフレンチ・トッカータにしました。

チャレンジングで、楽しい、演奏会だったけれど、準備が大変でした。どうやって弾くか、まだ一般論がまったくない譜面。ある意味自由なのですが音の練習と曲想の模索が同時に続く。俳句の第2曲もひき続き練習したい(大祇の「白雨(ゆうだち)のすは来る音よ森の上」)。最後の第4曲(松尾芭蕉の「荒海や佐渡に横たふ天河」)も来年は弾きたいです。津波を彷彿とさせる、怖いような曲。

これからずっとピアノの上に置いておいて、ずっと練習していかないといけない、というか、もっとこれからも使って行ける、「お楽しみはこれから」な、楽譜。演奏会が終わっても、まだまだ私の中では終わらないタイプの演奏会、それが現代物を含む演奏会です。

(ドゥルーズさんは日本のテーマだけでなく、透明感のある不協和音の使い方のフランスの系譜。印象派が北斎にも影響を受けているのなら、日本の様式もある種の透明感に通じているのでしょうか。彼は、更に宗教的な感覚も入っています。この秋、演奏会ふたつで歌唱の作品を聴けるので、楽しみ。)







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by momoyokokubu | 2012-09-25 01:51 | 鍵盤楽器