おるがにすと・クロニクル Chronicle of an Organist

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オルガン演奏と体力の関係

7月27日(金)講習会第2日目(その1)

(のレポートを書こうとしているのですが、余談があまりに長いので題名変更しました)

6時半に起きて、何が嬉しいかというと7時にもう温泉に入れること。昨晩の猿の話ではないけれど、自分がおさるさんになったような気分でお風呂につかりました。サル年の自分にとって、一年に一回温泉に入れる年は幸せな年。

余談ですが、体重計があったので乗ってみたら、体重が普通と同じでした。

このことは実は不思議なことです。

演奏会の日のあとは1キロ減っているのが習慣。夜遅く食事しても、演奏会でちゃんと「ガソリンを消費」した証拠が出ます。なのに仙台では、初めてその記録を破った!

前日から宴会をして。
朝ご飯もお弁当も充実して。
その上で演奏会後の宴会、お酒も飲む。

この3日がかりの栄養補給で演奏会のエネルギーが「身を削らなくとも」供給できたのだ。

今まで国際コンクールに6回出場しながら、折角行った決勝で「もう家に帰りたい。」とやる気が持続しなかった自分。体内のアドレナリンが、準決勝で使い果たされてしまう。決勝の朝、「ええ〜弾きたくない」状態になる、あのいやな気分。2000年のマーストリヒト決勝で、ザットマリー先生には「準決勝良かったからせっかく奥さん呼んだのに〜」と言われてしまったぐらい、良い演奏が出来ない。このあと制限年齢にもなり、コンクールには出ていません。

30台のころにもう少し体のことを考えていれば、もうちょっとましなコンクール体験になったのかどうか?まあ、万全でも「与えられる結果」は変わらなかった、ということは大いにあり得ますが、自分の気持ちの満足するように最後まで弾ききれなかったのは、やはり貧血とか、体力温存の仕方がわかってなかったとか、いろいろあったのだと思います。

その後も、演奏会のあとには必ず体重が1キロ減る。それを1週間ぐらいでもとに戻す。というのが「普通」だと思っていたので「そんなにたくさん演奏会したら死ぬわ〜。」とどこかで感じていました。

でも、仙台の夜の演奏会は、実に会心の演奏だったではないですか(そうなんですよ)。
それで体重も減ってない。
このふたつのことにはなにか関連があるはずだ。

この件、実はこの夏1か月の間、随分ひっかかっていたのです。

オルガンコンクールをやっている皆さんにもぜひ一考してみてもらいたい。
やせてて体力の万全でない状態でコンクールをやるのは音楽のためにならないのではないか、ということを。

太れば良いということではないのですが、オルガンの問題は:

1。音がでかい。(耳も頭も消耗する)
2。本番直前の練習時間が死ぬほど凝縮している。(練習してあっても、鍵盤交代や音色、ストップ操作を整えるのに手間ひまかかり、3時間X2回の練習で1時間の演奏プログラムならぎりぎり)
3。本番も、鍵盤交代、ストップ操作を頭に入れつつ弾くので、恐ろしく集中する。(楽譜を暗譜してる人はそこで余裕が生まれますが、普通はオルガニストは譜面を見て弾く。レジストレーションを書き込むので)
4。知らない人と息を合わせながら弾くので気を使う。(アシスタントの方と密着しがちなので)
5。5声のフーガとか、複雑であったり、内容が重いことが多々ある。(受難節系の内容とか)

などがあります。本番前にも結構家から出掛けて教会に通いつつ練習するなど、なかなか活動的であることを要求される。教会に行けば(事情を知らない堂守などに怒られたり鍵がなかったり)まあいろいろ精神的にも厳しい。

ひとりで弾く楽器だし、自由で楽しい音楽生活のようですが、これは体力のいる楽器です。

パイプオルガンを始める人は腹筋体操(ベンチから落ちないため)と柔軟体操(足をつらせないため)を同時に薦められることが多いです。オルガンを弾き慣れてくると、そこまで準備体操は必要なくなってきますが、演奏会を控えている場合、練習しすぎたあとのストレッチと、三食きちんと食べる、これを私は提唱したい。三食食べる、ではなく、「きちんと食べる」です。

その重要性が今回、仙台で実証されたと思います。

ストレッチの件は、四十肩になって以来、ピラティスで改善したのを維持したいので、ブリュッセルから仙台に飛ぼうとも、ヨガマットは持参しました。トランクが小さいので半分に切ったけど、こういうのがあるとこまめにやりたくなるものです。
でも、

「食欲が出ないなあ〜」

ということの件についてはあまり深く考えてこなかった気がします。
練習すればするほど体力を使うのに、なぜか食欲は無くなって行きます。
純粋なスポーツと違って、わっとおなかがすかないというか、演奏のことばかりに頭が行って気もそぞろになるのだと思います。

ところが仙台では、よくある「はい、これがオルガンの鍵です。明日の一時の講習会でお会いしましょう」という待遇の真逆であった。(詳細は前日、前々日の記事参照)

知らない町で、ホテルは朝食込みでなく、「昼食、夕食も個人で食べておいて下さい」という場合、「わあーい一人旅!」という愉快さはもちろんありますが、演奏会には向かない、ということです。

どこで何がいくらぐらいで食べられるのか、練習時間が食事時間とかち合ってしまった場合、変な時間に食事出来るところはあるのか、…それが無理でお弁当を買って来たとしても教会の堂内ではさすがに食べられないから食べる場所がないけど、ホテルは遠い、など。そして、まあ、楽譜なんか読みながらもそもそ食べるから半分しか食べられなかったり。

20台のころはサンドイッチの立ち食いして、走ってそのまま練習に戻ってもピンピンしてましたが、折角演奏に深みの出てくる30台になってちゃんとごはんを食べられず良い演奏ができないとしたら本末転倒です。それでも、信仰をはき違えるというか、教会に携わっていると、食事も貧しくするのが良いとなんとなく思ったりして、ごはんを抜いても「駄目なんじゃない?」という心の声は案外聞こえてこない。

また、芸術なんて趣味の延長なんだから経済価値は低いのかもしれない、とどこかで感じてしまうために、寝食のことは祖末にあつかったり。

ただ、練習をそんなにしない季節もあって、その間はよく寝てよく食べられるのでしっかり肥えることもあります。しかし演奏会の季節にその体力をうまく流用できるかといえば違うみたいです。その日のエネルギーはその日供給する必要がある。このことも、貧血気味で、毎日鉄分を朝一番に飲む自分は実感できていたはずなのですが(毎日少量摂取しなければダメらしい)、仙台では毎日毎日心も充足したけれど食卓も素晴らしかった。そのお陰で演奏も1時間しっかり出来て体重も減らなかった。

これから、中年太りで体はどんどん「プヨプヨ」になって行くとは思うのですがそうした「見た目」のことは別として、どうやって健康で、良い演奏をしつづけていくのか、まじめに考えさせられた大きな体験となりました。

自分は未熟で良い演奏が「まだ」できない、と考えているオルガニストのみなさんに、「ちゃんとごはんたべてますか〜」と訊いてみたい。わたしも夜中の10時から録音し始めて、朝の6時にうまく弾けないときにはさすがに「自分はまだダメだなあ〜」とは思わなくなった(以前はあらゆることは「まだ」ダメなんだとつい思っていたと思う)。けれども自分が「自分の子供」だったら、どういう練習の一日を過ごさせるのが理想的か?と自分から少し離れて「重要な件として」考えてみたりすることも、無駄ではないと思います。

ただ、あまりに条件をつけすぎて、外から見て「演奏家は贅沢でわがままだなあ〜」と思われないようにしなければなりません。オルガニストはいかなるときもクールに、動揺、不満、哀しみを心に秘め、…

…このつづきは、知る人ぞ知るぐうたらオルガン入門を参照して下さい。(セシリアさんに紹介してもらって昨日初めて読みました。なかなか正しくて、最高に可笑しい。「名古屋オルガンぐうたら会議」も、この文献に基づく会議のことだったらしい。)

工夫して、心からの「良い演奏」をガソリン満タンで行うこと。
そして、皆様に
「そうかそうか、そのためのわがままであったか、それならばよしとしよう」
と納得していただく。

常にこれを目指し、これから頑張ってみようと思います。
と、いうわけで仙台講習会2日目のレポートは次回。

実は演奏会準備中なので、次いつ書けるかわからないのですが…
本当は仙台のこと全部書き終えてすっきりして練習行く予定だったんですが…
まあ、気がかりだった件について書けたので、納得できました(自分のために書いてるなあ)。

練習、行ってきま〜す!

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by momoyokokubu | 2012-09-19 19:40 | 鍵盤楽器