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おるがにすと・クロニクル Chronicle of an Organist

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東北のオルガニスト(3)

7月26日(木)のできごと、そのつづき。

(現在は9月17日なので、夏にあったいろいろな出来事についてもようやく振り返れるかと思われる落ち着いた秋が到来。わたしもそこらへんでばたばたしていないで原稿に向かおうと思い立ったので、日記をひもときつつ、7月26日の暑い最中へ心は戻りたいと思います043.gif

演奏会が終わったあと明日の講演の続きの心配もあるのですが、まずはごはんを食べに。
再びセシリアさんの予約で自然派ワインと炭火ビストロの店Noteへ。

教会からお喋りしながら歩いて行ったのですが、ここで私もたくさんのオルガニストの方と自己紹介などできました。講演のあとグループにわかれてレッスンがあったのですが、そのアトリエを教えた先生たちと参加者の皆さん。

お店は道からテラスのような小さな中庭を通って中に入ります。
フレンチ、と聞いていたけれど、ノート、は覚え書きとか書き留めるためのノートとかの意味の他に「音符」と言う意味もあるので、ブルー・ノートのジャズの雰囲気も感じられるのかな、というのが第一印象でした。

席についたら、フランスのビストロみたいに「今の季節おいしいものだけがちゃんと揃っている」ということがわかり、食べる前から期待感でみんな盛り上がりました!

そして各種のパテ、野菜のチャツネ、酢漬け、ゆでいものつぶしたの…これは普通のポテトサラダのように見えるのですが、煮たタマネギでも加えたのか野菜の甘みが入っていて

「どうしてこれおいしいのかしら!」

と何回も口に運んでしまう不思議なおいしさでした。

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テーブルに座った9人のうち「飲みます!」と手を挙げた6人で、白を一本、赤を一本開けたのですが、白がすでに美味しくて変えるか変えないか迷うぐらいでした。ベルギーだったらきっと変えないでもう一本同じのを、という方向に進んでいたと思うのですが、ここはたまにしか来られない日本。わたしはお肉が出たところで「この店はどんな赤があるのか!」知りたいばかりに赤も一本頼むことにしたのです。

東北のオルガニスト(3)_e0203829_1245730.jpg


おいしい料理とおいしいお酒のお陰で、知り合いになったオルガニストの皆さんのお名前を忘れてしまいました、ということのないように、手帳の一日ページに昔懐かしい「サイン帳」をみなさんに書いて下さい!と図々しくお願い出来たのも、酔っぱらっていたからでしょうか。

高瀬佳子さん。以前からセシリアさんの名前でヴァーチャルなおつきあいのみさせていただいていたのですが、こうしてお食事の席では隣に座っていろいろ話せました。子育てをしながらお仕事を持ちながらオルガンの勉強を続けていらっしゃいます。「またいらしてくださいね!」と書いてくれましたが、仙台のオルガン界の「お母さん」のような方にお見受けしました。

小野なおみさん。竹佐古さんが「可愛い方です」とおっしゃっていたとおり、お人形さんのようなかわいらしい風貌のオルガンの先生。「歌を感じるオルガンの演奏」と評していただきました。そんなこと言われたのは初めてだな012.gif嬉しい041.gif「サイン帳」を見ると自分の肉筆に似ています。もし住んでいるところが近かったら仲良くなりそうな気がしてしまいました(子供みたい)。どんな演奏されるのかな〜聴いてみたいです。

竹佐古真希さん。今回の講習会では、ひとり何役も淡々とこなし、弾くときは堂々、話すときは細い優しい小さな声。賛美歌と奏楽曲のスペシャリストでオルガンの先生。自分から自分のことを一切お話されない不思議な方なので、私から見た竹佐古さんの像はそんな感じです。Deepで楽しい日々であった、と書いていただきました。それはいったいどういう意味だったのでしょうか…彼女のブログでは「(桃代さんは)半分ベルギー人」という描写もありましたが…ふふふ…もっとお話したかったな…竹佐古さんの歩いている姿が私は好きです。

この3人の仙台のオルガニストの方たちにお会いして感じたのは、みなさん個性的ということです。ぜんぜん似ていない。でも柔和です。この柔和さは関東以西では得難いキャラクターか…(すみません)。オルガニストはたまに「美人だがキツそうな感じ」と評されるようです。それは東北には当てはまらない。という感慨を持ちました。皆さん「教会学校の元気な女教師」的な、はつらつとして、親しみやすい空気を醸し出していらっしゃいます。

だから私は楽しくてすっかり酔っぱらってしまったのではないか023.gif

ひとつ言えることは、東北のおいしいものを飲み食いするにはわたしはまだまだ修行が足りないということです。何の話だったのかは思い出せないのですが、私が

「自分は色だけは白いです!」

と叫んだら

「今は真っっ赤ですっ!!」

と大笑いされたのです(そうかな、と思って後ろにある鏡を見たら、私だけ猿のように真っ赤だった)。

この発言の主は加藤千加子さん。参加者の中で最もお肌の若々しい、見るからにひとまわり年齢の低そうな彼女。いったい何のせいだったのか、とにかく一晩中私が笑い転げたのは彼女の発言が可笑しすぎたからです。こんなに面白いオルガニストの方に出会えて幸せでした。つまり、よくありがちな、オルガニスト的なまじめさが(彼女は眼鏡をかけているし、特にニッコリ、ともしないのに)全く無くて、意外な方面から笑わせてくれるというか…。彼女は名古屋からの参加で、わたしの次に遠くからの参加でした(比較出来ないが!)。「ぐうたらオルガニスト会議」を提唱されてました。次は名古屋で開催と。参加したい。「ぐうたら」って…

末次かおりさん。セシリアさんと同じく、ヴァーチャルだったのが、数年前に初めてお会いして知り合いに。それはメシアン講習会と横浜の温泉でした。鳥の歌の次にはいきなり裸のおつきあいになり、今回は横浜から前日決定で参加されました。このつぎの日に仙台駅前でレンタカーを借りてくれ、わたしが行きたかった被災地へ連れて行ってくれ、帰りの新幹線の時間が迫っていた私を駅で落としてくれたことを思うと、本当の友人のように面倒を見てくれたと思います。彼女もオルガンの先生。大学卒業時の話、結婚当時の話…ドライブしながら初めていろいろな話を聞きました。本当の友人のように、と書きましたが、多分お会いしたのはこれでまだ3度目なのです。ひとことで言うと年齢不詳の方です。ぱっと見たときにふわっとカールした前髪の下の笑顔に吸い込まれます。子供のように可愛い笑顔の次の瞬間には、しゅぱ〜。とタバコの煙をくゆらせる、その不良的なかっこ良さも非オルガニスト的なのではないでしょうか。写真ではマスコットのくまちゃんで遊んでおられますが、この方もバッハを、フランクを弾くんだなあ〜と(お聴きしたいです)…。

川越聡子さん。この方も肉筆の字から想像すると…かなり仲良くなれそうな予感003.gifそれにしてもバイタリティーのありそうな、頼もしい感じのオルガニスト。宴会後半ではiPhoneに耳がくっつきっぱなしでかわいそうでした。所沢からわざわざ参加されていたのに、しっかり携帯にはSOSが着信しつづけているようでした。まるでうちの夫のようだとちょっと心はベルギーにさまよったぐらいです。合唱団のお世話や、教会で次々にある行事のお世話をしていると本当に一年はあっという間。そんな活動的な毎日を送られていると察しました。「演奏のテンポ、のりが、すごく自分の趣味と合うんです!」と言っていただきました。そういうコメントはとても珍しいです。「素敵」とか「素晴らしい」とか言っていただけると演奏家はもちろん嬉しいですけれど「この曲はこのテンポ、このノリしかない!」という風に、「ややかたくな」に煮詰めるタイプの自分は、どこで弾いても素敵もくそもなく「桃代節」。バッハ先生ごめんなさい…修行を重ね、自分を通り越してバッハが表面にガンと出る、そういう境地にいつか立つことを夢見ていますが、ロビヤール先生の「良いオルガニストはオルガンもヴァイオリンのように自在に扱えるんだ。」という教えを今はまだ追求中なので、曲想、曲の流れが自分の演奏の最大のポイントになっていると思います。その点を鋭く指摘してくれるのは、やはり同じ道の者。またおしゃべりしたいです。

この3人は東北のオルガニストではないながら、東北に縁故のあるらしいオルガニスト。

オルガニスト番外編、林巌先生。牧師先生は、厳密には「酒盛り」には参加されませんでしたが最後までおつきあいしていただき、「うちの10歳の男の子たちにももっと練習させます」と、サイン帳に書いてくれました。これはどこの男の子たちのことか?お訊きするまえにお別れしてしまいました。教会の男の子たちがオルガンかピアノを習っているのでしょうか?息子さんがいらっしゃるのでしょうか?10歳の男の子たちに練習させるのはとっても大変な仕事です。頑張っていろいろ励みになるような機会を与えてあげてください!オルガンの周辺で、大人が楽しくいろいろやっていれば、子供も音楽を糧に成長することでしょう。

番外編その2は江連紀子さん。この方はオルガンを演奏されるのかどうか訊きそびれてしまったのですが、ぱっと見たときに幼稚園の先生、のような印象を受けました。あとで、次の日の講習会が行われた北三番丁教会の牧師夫人、ということを聞きましたが、普通にされているお顔が「笑い顔」なのが素晴らしいなあ、と思いました。この方も柔和な方なのだと思います。ベルギーについて、わたしのブログを見て想像して下さっている、と書いてあります。私はベルギーというのはどういう国だと思っているのかなあ?と、自分を通したベルギーの姿を逆に想像してしまったコメントでした。ベルギーは私にとっては「保護してくれる国」。角がない。隣国の大きな国々、フランスやドイツ、イギリスやオランダに比べると「まあ、そういうこと言わなくてもいいんじゃないの〜」というノリで、批評を好まない国です。基本的に他人に干渉しない。かと言って、柔和か?というとそれはない。なんでそう原始的なの?と思う人がごろごろいます。勝手。堂々と、とんでもなくひとりよがりな。ベルギーがそうだとしたら、半分ベルギー人な私は何なんだ…と考え始めると話がまた長くなるのですが…

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(宴会が始まる前に記念撮影)

この日、ホテルに帰ってから皆さんのサイン帳の書き込みを読ませてもらって、ここの教会オルガニストの方たちとつながっているような気持ちになれたのは、こうして講習会をもう31回も行って来た東北教区の方たちが、「つなげつづけて」来た歴史のお陰です。竹佐古さんも高校時代にこの講習会に出席したことがきっかけでオルガニストになったと言っていました。

温泉で始まった一日、こうして心もほかほかにしてもらって眠りについたのでした。
(みなさん今日は実名で登場していただきました。みんなプロだからいいよね?もし気になる方はご連絡くださいね)
























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by momoyokokubu | 2012-09-18 03:13 | 鍵盤楽器