おるがにすと・クロニクル Chronicle of an Organist

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仙台での講演と演奏会

一日が午前0時に始まるとするならば、7月26日(木)は就寝前に入った温泉の中で始まりました。(いいなあこんな滞在!)
朝起きたら体は軽く、昨夜の食事にもかかわらずすっかり空腹になっていました。

朝ご飯はバイキング(いつも思うのですが、なぜここで海賊を思い浮かべながら獲物を探しに行く気分にならなければいけないのか)。

温泉卵、小さいいろんな焼き物に、「はっと汁(ニョッキみたいなのが野菜とともに入っている)」、菜っ葉ご飯。
昨夜は麦ごはんでしたが、きょうもお米、おいしい。
すべて、実においしかったです。朝からこれ全部きれいに食べました001.gif

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飲み物のカウンターには、陶器のカップの横に紙コップとフタも用意してあったので、ありがたくコーヒーを一杯お部屋に持って帰る。これから勉強、というときにこれがあるとやる気が出ます。同じカフェイン効果でもナポレオンの兵隊さんより楽だしなあ、とか、思いながら。

まず昨夜の練習の録音を聴く(聴くのにもやはり1時間半かかる)。こういうとき、はげしく独り言を言う。自分突っ込み。誰もいないからいいけど…

それから講演の準備。
プリントの内容は「ヨーロッパ音楽の歴史の中のベルギーとその音楽家の歴史」というものなので、カタカナの固有名詞の多いこと。手書きのノートでは、全部オリジナル表記で書いてあったのを日本語表記ではどう書くのか調べて要約し、プリント用に文章を整えていたのですが、それが未完成だったので締めくくる。あとは話すとき、どこでプリントの表から脱線するかを検討し、印を付ける。時間がなかったら寄り道しない件にも印をつける。ぱっと見てわかるように、手書きノートに色分けしてある固有名詞(個人名はブルー、年代は黄色、キーワードはピンク)を適当に見て、日本語で普通にちゃんと言えるか練習。。。これは瞬間芸なので、ゲーム感覚でぱぱぱっと出来るように、ウォーミングアップ。同時通訳のバイトを(むかーし)ちょっとやっていたころの「朝練」の要領…?

これが10分の1ぐらいに要約されて
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こうなる。でも脱線など、より細かく話すときはページ番号を見て上のノートに戻る。ここで正しい日本語の読み方がすぐ出てこないとかみかみになってしまう恐れ大。
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ちなみに文献は3つあり、

やや独断と偏見の気があるが大変おもしろい、
1。フランソワ=ジョゼフ・フェティス(François-Joseph Fétis)の「ベルギーの音楽家たち」
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出版物みたいによく網羅できている、
2。ジャン・フェラールのブリュッセル音楽院での授業資料、「オルガン音楽の歴史」
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そして日本語でよくまとめられている、
3。ベルギーの歴史。(このサイト、今、これを書くために確認したら、なんとベルギービールのサイトでした。ベルギーのオルガン音楽を知るためにベルギーの歴史を振り返るわたしたちと同じように、ベルギービールを知るためにベルギーの歴史を振り返る人たちもいる。素晴らしい。これは、ビールの歴史もちょっと読んでみたくなります。)

さて、講演上の注意を自分で心にメモ。
昔から「蚊のなくような声」なので、
・マイクは近めに。
早口なので、
・きちんとゆっくり喋る。
始まるとあっという間なので、
・たびたび時計を見る。

それから忘れ物がないかチェックし、荷物を用意し、徒歩で青葉荘教会へ。

あと必要なのは「水」ですが、ちゃんとお弁当とお茶を渡していただき、控え室で講演の練習の続き。オルガンで説明するのではなく、皆さんの前にただ座って講演をするのは初めてなので、どうも演奏会の練習と同じようにしか「練習」出来ないのですが、とにかく。

そういえば、着いたときに参加者が続々と集まりつつある受付で、
「国分です」
と言ったら「えええええっっ!」と驚かれました。
それから、
「国分先生ですか!失礼しました!」
とおっしゃったので、普通はもっと先生らしい方を招んでいらっしゃるのに違いない、と竹佐古ディレクターの英断に頭が下がる思いでした(この方はいったいひとり何役されているのか?!)。

そして、開会礼拝が1時からということを忘れていた私を控え室に呼びにきてくれた竹佐古秘書。この時も、ぎりぎりに渡したプリントをちゃんと印刷してくれたときも、さりげなくこちらの不備をカバーしてくれます。(「なにやってんですか」と言ったりはしない)

その数分後にはオルガンに上がって開会礼拝の前奏を始めた奏楽担当・竹佐古嬢。すごい。聴いたことのない面白い曲でした。わくわく感の盛り上がる選曲!それから詩編81の2節から6節を読み、仙台愛泉教会の上野和明牧師による「授けられた定め」という短い説教がありました。この詩編は、はじめこそ

・…力の神に向かって喜び歌い…喜びの叫びをあげよ。
・…琴と竪琴を美しく奏でよ。
・角笛を吹き鳴らせ、新月、満月、わたしたちの祭りの日に。

と、楽しく、詩編お約束の「音楽しなさい、の歌詞」になっていますが、
そのあと、

・…これはイスラエルに対する掟
・…ヨセフに授けられた定め。

「これは命令です。」というような有無をいわさぬ厳しい文句が続きます。

上野牧師は、これを鑑み、説教で「なぜ礼拝の最初と最後に歌を歌わなければいけないんだろう?」という根源的な疑問を提起し、キリストより更に古いギリシャの最初の教育機関で、ふたつの基本科目(『ことばを自由に操るための勉強』:国語と、『計り構築するための勉強』:算数)が必修になっていたことから、「ポエムで書き表し、数字でもあるところの音楽に乗せて総合的に表現できる」歌による教育的効果の大きさについて歴史的に話してくれました。

その重要性ゆえ、「掟」として歌い続けられている神への讃歌。

まあ、詩編も旧約聖書の世界、筆致が時として「野蛮」なため、新約の一番大事な掟、
「愛を持って…しなさい」
以外の掟はなんとなく額面通り受け止めないことも多い私。
講演の前に、教会音楽に携わる者すべてにとって根本的なお話を聞けて、初心に返れました。
皆さんの心もひとつになったところで講演の時間になったので、素晴らしい流れだったと思います。

(講演でも演奏会でも日常的には会議でも、お祈りや短い礼拝で開会すると、心が謙虚になり良い会になります。でもそうしたことを私はよく忘れているので、このことを心に刻みたい。)

さて、竹佐古司会者に紹介していただいて話し始めると、時間はあっという間にすぎ、予定していたピーター・コルネの名前までたどりついて、終了。咳も出ず、目にごみも入らず、途中で泣き出す赤ちゃんもいず(これは今回はあり得ないので冗談ですが)…感謝。

よし、きょうは、あとは弾くだけ!と心は快活になりました。

横浜からはるばる参加して下さったオルガニスト、末次かおりさんと再会を喜び合い、さっそく「明日の午後ふたりででかけない?」と訊いてみる。ホテルに帰ってシャワーを浴び、お弁当を頂き、寝て、着替える(こうして書くとあわただしいな)。

教会に戻って小一時間練習。最後の前奏曲とフーガ以外(長いので割愛)少しずつさらう。ここの音響に耳は慣れたと思う。しかしペダルが放射状!懐かしいイギリスのようだ!でもこのような楽器は太西洋のベルギー側には滅多にない。私の足には17年振りぐらいになるため、右足のソの音が迷子になりやすい。そして一番の問題は鍵盤が強い力で指を押し返してくること。ゆっくり入る装飾音を弾くとき、いつも通りに弾くと、可憐な感じにしたいのに、ちゃきちゃきの音が返ってくる。トリオでもアクセントを最小限にして弾きたいのだが、押し返しの強さに粘った指のままでは次の入りの音も重くなってしまいがちなので、音の入りは優しく、音の出は重めに、最後まで調整を重ねる。そういう葛藤をしているのは私だけかもしれないのですが、とにかく私が弾いたことのある楽器の中では、その点が普通と違う、特徴のある楽器でした。

というようなことも、7時少し前には全部忘れ、2分ほど水平になり肝臓を休ませました。これはむかしB型肝炎にかかって以来行っていることで、ただのジンクスです(だと思う)。肝臓が休まると心配事は全部消え去ります(のつもり)。

弾き始めると時間はあっという間にすぎ、…

(なんだか聞いたことのある…)

演奏会後にびっくりしたのは、カンバーランド長老教会で知り合いの奏楽者のひとり、鈴木千恵子さんの旦那様が、いきなり
「ナオさんですよ〜!」
と言いながら向こうから普通に歩いて来たことです。関東にいるはずの人が、と
「えっ!え〜!?どうして?」
と目をこすってしまいました。
話を聞けば、ひと月の間、あの隣の「エマオ」でボランティア活動中とか(前回の記事参照)。お年は65歳をこえてらっしゃるはずなのに、なんて活動的なのでしょうか。教会にはボランティアの方が多く宿泊されていることは聞いていたけれど!

それからわたしのCDを日本で流通して頂いている会社の仙台出張に合わせて、来てくれた岸さん。この日のCD販売は自宅のストックを持参したのですが、日本用の説明印刷文を無料で着けて、セロハン梱包してくれました。マーキュリーさん、チャリティー演奏会の意図に賛同してCDを購入して下さったみなさん、教会の皆さん、どうもありがとうございました。

いろいろ長くなったので、7月26日(木)後半は、次の記事でここで出会ったオルガニストの皆さんについて書きます。



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by momoyokokubu | 2012-08-11 02:49 | 鍵盤楽器