7月25日(水)、東京駅から昼前のやまびこ号に乗り込んで初めての仙台へ。
おべんとうは東京駅で買った「夏こまち」。
しらすご飯に豚しゃぶの梅和え…。ご飯+6品…。
食べていたら携帯メッセージが来ていることに気づきました。
「改札のあとエスカレーターを下りて、右側に出ると白い車」が待っていてくれるという!
二日前に新宿で初対面した竹佐古真希さんは、今回の
東北教区・礼拝と音楽研修会の「まとめ役」のような存在です。地図を携えて、教会までは自分で行くつもりにしていましたが、
「雨が降っていますから」
という優しい理由をつけてお迎えに来てくれました。
メッセージ通りに改札のあと下りて右側に出ても、「なぜか」会えない、という状況は「私の場合」よくありますが、短くも的確なメッセージのお陰でしっかり会えました。この時点で
「今回の旅行は大丈夫」
な予感が。
(注:「私が」大丈夫ということです)
車に乗り繁華街を通り抜けながら
「絶対に自力では教会まで行けなかったと思う…」
という確信が芽生えた。雨が降ってて良かった
教会での練習時間には早いのでホテルに荷物を預け、先にもうひとつの教会へ。
細い道を走って仙台北三番丁教会に着くとき、停めるところがあるかな?と思っていると教会の真横にちゃんと駐車場があった!小さい教会のように見えるのに、驚きました。更に外観もかわいらしいなと思っていると、竹佐古さんが
「結婚式を挙げた教会です」
とおっしゃる。牧師の娘にして牧師夫人なので教会で結婚されたのは当然のなりゆきと思われますが、わたしの頭の中にはメルヘンのような木立に囲まれた教会での楚々とした式の図が広がっていました。既に心を洗われたような気分で下駄箱に靴を入れます。
板張りの会堂内には懐かしいような木漏れ日が差し込んでいて、中も外も木に囲まれているような感じです。ポジティフオルガンのケースには手書きの注意書きが置いてあり(「パイプオルガンはビミョーです。触らないで下さい」)、竹佐古さんと大笑いして、「来たことのない場所にいる」という緊張が吹き飛びました。
そのあと交代で写真を撮りあいながらポジティフを試すと、ペダルのカップラーが湿気のためひっかかることがあり、なるほど「微妙」の理由がわかりました。
「レミラの上で」を試奏する、オルガニスト・竹佐古真希さん。
さて時間になったのでまた車に乗って今度は演奏会の練習がある青葉荘教会へ。
この教会は昨年行ったオランダのホフラーン・プロテスタント教会を彷彿とさせる、がっしりとした西洋建築!
そして、オルガンも後ろのバルコニーに設置してあって、まるでヨーロッパ。
仙台北三番丁教会からこの青葉荘教会に来るまでのあいだ、あちこちに教会の塔や、キリスト教会の看板が見えたので
「まるでブリュッセルみたい!」
と驚いていたのですが…仙台は想像以上の「クリスチャン大都市」だったみたいです!
音決めの練習を2時間して、竹佐古さんにレジストレーションを実際に弾いてもらいました。その作品を、そのテンポで弾いてもらえるとどんな音なのかはっきりイメージがつかめるので本当に助かりました。普段は夫が来て一緒にやる、というのに慣れているのですが、竹佐古さんはどの曲も初見をしてくれるし、「もっとおそめに」とかいうのもきいてくれる。そして明日は譜めくりもして下さる。このあたりから
「今回の旅行は大丈夫」
なだけではなく
「竹佐古さんのアテンド最高かも
すっごくいい演奏会できちゃうかも
」
と期待が高まる。
休憩に近所のコンビニにでも、とコーヒーを買いに行こうとすると、
「出て右に行くとありますよ」
とさらっとひとことおっしゃって開会礼拝の伴奏練習に入る竹佐古さん。
出て右に行くと迷子になる予感を抱えつつも、降り出した雨を追い越すような勢いで角まで走ったらそこはコンビニだった。恐るべし、竹佐古さんの「短くも的確なメッセージ」!
おむすびとコーヒー、「仙台マップ」という小冊子を買って、コンビニで雨宿り。
しかし止まないので、黒い折り畳み傘も「日本製の傘」というだけで喜ぶ夫のお土産になるからいいか、と急遽購入して、教会へ帰る。道を渡って正面に進む代わりに右へ行く私。傘に隠れてひとしきり歩きふと見上げると、見覚えのないホテルがある。ちょうど通りかかった人に
「すみませ〜ん、青葉荘教会はどこですか?」
と訊くと、
「あ、知りません…じゃ、調べます!」
と、なんとその場でスマホ検索!ポケットから地図も出して来て3分後には
「ここですね!」
と教えて下さった。
なんと親切なお人であろう。
というより、
なんと親切な「お国柄」であろう、ということは、三日間を通じて感じたことです。
教えてくれながら
「しかし、何でしょうね、『エマオ』って…?」
と、地図の教会の隣に記載された
エマオを指してわたしに訊く。(リンクにあるように、東北教区被災者センターのことでした!)
恥ずかしながら、私もひとことで言っていったい何であるのか、その時はまだいまいち把握していなかったので、
「イエス様が復活したあと弟子たちに現れた町の名前で、なんたらかんたら」
とその名称の「由来」だけをしつこく説明して更に彼を拘束するのも怪しい行いのように感じ、
「うーん、何でしょうね…」
とことばを濁し(駄目ですね…)、お礼を言ってお別れすると、雨はすっかり止んでいた。
(結局2週間の日本滞在で、傘を使ったのはこの10分だけ)
今度は練習を録音しながら1時間半ほどオルガンを触らせてもらう間、竹佐古記者は既に練習風景をFBに載せておられた。さらに昔ミクシーでヴァーチャルな知り合いになった「セシリアさん」も間髪入れずにコメントを入れて下さり、「ベビーシッター確保できれば一緒に夕食できるかも」…などと、トントン拍子に話がまとまったようで、わたしが弾いているうちに宴会会場、決定。素早い!
ホテルにまた竹佐古運転手に送ってもらったあと、急いでシャワー。着替えてさっぱりしたところで、待って下さっていた車に乗ると、隠れ家的な和食屋さんに到着。
ここから先はめくるめく東北の美味の世界が待っていたのでした…
地元のセシリアさんと竹佐古部長がオーダーして下さるものなら、自分は何でもオーケーです状態になり、おいしいお酒を2種類もいただき、初めて「ほや」を見、触り、味わうという…
巨大な「がぜ」ウニをスプーンですくって食べるという…
手作りのイカの塩からをほぼ一人で完食するという…
ブイヤベースもびっくりのあら煮を食するという…
さて、板前さん(?)のお話によると、「ほや」は貝ではない!もともと白い小さな魚なのが、岩と出会ったあとそこに吸着して変体し、取り込み口と排出口以外見た目タコの吸盤のような、でもさわると案外レゴみたいな感触の丸みのあるとげとげを体中に発育させる…
それが丁寧におろされて出てくると…
写真だと薫製のカモのようにも見えますが、味はみずみずしく、きゅうりのような苦みのある、しかしお酒と塩をふりかけたのかと思うような…
最後に宮城産・メルヘンというかぼちゃの煮物、お水を入れずに炊いたお味はほとんどデザート…
…なんだかすべてのことばは「…」と、無に吸い込まれて行くかのような、述語が不必要なような、おいしいおいしい時間が2時間続いたのでした。
客人(まろうど)という青葉区春日町のお店です。(また行きたい)
この時点で、「今回の旅行は大丈夫」どころかわたしはもう満足して東京に帰ってもいい気分でしたが、竹佐古姉さんにはもちろんそうは言えず。それでは明日!と、セシリアさんとも旧知の仲のごとくお別れしました。
(「東北のオルガニスト」シリーズ、続く。予告…登場オルガニストは一挙に増えます
)
にほんブログ村
にほんブログ村
にほんブログ村