おるがにすと・クロニクル Chronicle of an Organist

momokokubu.exblog.jp
ブログトップ

オルガンのアシスタント | Organ assistant

035.gifIn English below035.gif

月曜日にはランディドルグのオルガン奨学生、樋笠理絵子さんが第2回目のコンサートを弾いてくれました。

わたしは、ヴィドールのオルガンシンフォニー5番の、片側のアシスタントをしました。

と、いうのはどういう仕事か?

ということを今日は書きます。

私が弾いている教会のオルガンは36のストップが半分ずつ、鍵盤3段の演奏台の左右に別れてついています。右側のアシスタントをすることになったら、今回は理絵子さんが用意した、楽譜の中に張ってある、黄色のポストイットの指示に従ってストップを操作し、音を変えます。演奏中のオルガニストが両手両足を使って弾きまくっているあいだ中、その鍵盤交代のすきま、フレーズとフレーズのすきまでストップを入れたり出したり、カプラーをかけたりはずしたり、あるいはそれのコンビネーションを同時に行います。

手鍵盤と手鍵盤、または手鍵盤と足鍵盤を合体させるカプラーを足で操作することも含めると、アシスタントも両手片足を使って仕事をしていることになります。オルガニストは座っているから両足フリーですがアシスタントは片足は立っているために必要。片足を地面でふんばり、もう片足をカプラーにかけ、体をひねって両手はストップを握っていたり、なかなかアクロバティックだったりすることもあります。

左側は理絵子さんの旦那様がアシスタント。ふたりは一緒にやり慣れているし、背の高い彼は手も長いので、左側から頁をめくってくれてわたしは楽でしたが、普通は右側のアシスタントが譜めくりもするため、頁をめくるのと同じ箇所で複数のストップ入れ替えやカップラー操作が同時にある場合、動作を行う順番を打ち合わせ、動きを暗記し、手品のようにさささっと行わなければなりません。音かえが「うまくいった!」と思ってほっとして、すぐさま頁をめくったら「ばさっ!」と音をさせてしまったり。

この曲は月曜日コンサートでもおなじみの作品で、自分でも弾いたことがあるので、アシスタントも「聴いた事もない曲」よりはやりやすい。でも、前日の練習の時、第1楽章の変奏曲は曲が繋がっていくので音変えが忙しい所があり、わたしは黄色いポストイットのところで千手観音のようにささささっ!と操作したつもりだったのですが、一番大事な、演奏者の手が鍵盤から離れたかどうか確かめるのを忘れたので、理絵子さんが最後の音を長くフェルマータで続けているのに音が変わってしまいました!すまん。何度かそこを練習させてもらって、演奏の流れも記憶。

やはり演奏家によって時間の取り方フレーズの作り方が違うので、本番では「自分が弾いている頭」だとアシスタントが上手く出来ません。自分が弾く時の流れが頭に浮かんでしまうから。そして、お客さんになってしまって「きれいだな〜」と聴いてしまうと「受け身」になってしまうのか、手足の俊敏さが鈍り、音変えが変に遅れたりします。近づきつつある黄色いポストイットが目に入っているのに、「おお、これは何をするものであろうか」的な、「自分は他人」になってしまい、演奏家と一体になってアシをすることができません。(アシって足みたい…)

アシスタントをするときは心証的には「電車に乗って、注意深く車窓から景色を見つづけている」ような感じで、自分が電車を運転する気分になってはいけないし、また車内でくつろぎ楽しむ気分になってもいけないということかもしれません。常に動く景色=楽譜を追いながら、進行している「音楽という時間」にシンクロして覚醒している感じです。そして黒子になりきるために、ちょっと息をひそめます。そうすると案外、ベンチがかたん、とかストップがきゅっ、とかそういう演奏家の気に触る騒音を立てずにすみます。そして左右で同時に音を変える時は両手片足に変えるストップやカプラーを触れた状態で、演奏家の手やペダルを凝視し、それが音を離れた瞬間、もうひとりのアシスタントと息をそろえて「ぱっ!」と入れ替えるのです。

ま、そこでいちいち万歳!と喜んでいると、つぎの音変えでコケることもあるので慢心をこらえ、クールにアシを続ける、と…001.gif



さて本番。幸運なことにレジストミスもなく、無事に最終楽章に来ました。その頁はあまり音変更がなかったのでつい聴いてしまい、すこし身を引いていたら、左側の旦那様に一瞬

「あのお、もうすぐ黄色いポストイットだけど大丈夫か〜?」

的な目線を投げかけられ、なにごともなかったふりをしながら結構ギリギリセーフで変えました042.gif


終了後、

「演奏良かった!レジストレーションも完璧!」

と、お客さんのひとりが言いました。
月曜日コンサートのお客さんたちは、そんなことがわかるようになってきてるんだあと感心しました。それで、今日は、「アシの気持ち」について、書いてみよう、とおもった次第です。


にほんブログ村 クラシックブログ 鍵盤楽器へ
にほんブログ村

にほんブログ村 海外生活ブログ ベルギー情報へ
にほんブログ村

にほんブログ村 音楽ブログ 音楽活動へ
にほんブログ村



035.gif

Rieko Higasa, our Lundi d'Orgue organ scholar of 2010-2011, gave her second concert last Monday. I am going to write in English the assistant's point of view as I had the chance to be one, in few days. Sorry my week was so charged: I just have to reach safely (?) the last Sunday before entering Lent!!
035.gif
[PR]
by momoyokokubu | 2011-03-02 20:40 | 鍵盤楽器